伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十七回
審査員賞
浅井愼平選
星あふれ落ちて浜辺で貝光る
壮大な宇宙、そして、それを支えるデリカシー。星々と貝の繋がりの不思議。これからも20代、30代と時代の異なる宇宙を句で表現してください。楽しみです。
宮部みゆき選
うちの犬ストーブ前で焦げ臭い
これ、うちの猫も同じです。「そんなにストーブにくっつくと、焦げちゃうよ!」と。この句のわんこは、何となく大型犬の気がします。猫や小型犬の比ではない焦げ臭さ! そこに笑いがあり愛があります。
安西篤選
不知火に呼ばれたような櫂の影
不知火が八代海や有明海に出現する八月の初め頃、作者はその海の浜辺の櫂の影にあったのではないか。その時、不知火から発する光の波動のエネルギーを受けて、不知火から呼び出されたような感動を覚えたのであろう。
いとうせいこう選
木枯らしよ戦の種を吹き消して
十五歳にも戦争は目の前にあるものとしてリアルに見えてきているのだろう。世界のあちこちで子供たちが犠牲になっているからだ。ゆえに句の中から訴えが切実に響いている。戦は種のうちに吹き消さねば。
金田一秀穂選
春の駅まだ何者でもない切符
行く先の書かれていない切符は、若者だけが持つことが出来る特権です。
神野紗希選
たましいの類義語は虹だったっけ
たましいと虹が似ていると思った感覚を、「類義語」というつなぎ方で表現したのが新鮮でした。私たちが虹をつい見つめてしまうのは、なつかしい誰かのたましいだから、なのかも。「だったっけ」と考えているうちに、虹ははかなく消えてゆきます。
夏井いつき選
算数を教えたあとの雪下し
小さな学校の先生でしょうか。冬休みの自宅でしょうか。子どもに算数を教えたら、雪下しにかからねばなりません。「算数」「雪下し」の取り合わせが、豪雪に見舞われたある日の光景をさりげなく切り取ります。
堀田季何選
純文学急なカーブを曲がれない
純文学は、多くの人に合わせて急に方向を変えることをしません。純文学ではなくなるからです。曲がれないのは弱さではなく、そうとしか進めない生き方の表れでしょう。同時に、その生き方は誇らしいものです。




