俳句をつくるときに、お父さんと一緒に行った阪堺電車の我孫子道駅のとても小さな駅で見た初日の出を思い出し、「ああ、あれはいい思い出だな」と思ったことから、この俳句をつくりました。
初日の出をとても小さい駅で見たとき、なにかいのちの誕生の場面のような不思議な感動を覚えたのでしょう。こんな小さな駅から、少しずつ顔を覗かせ、次第に大きくなってあたりを輝かせて行く初日の出。それは、小さないのちの誕生から、大きな成長へとつながる感動を呼び寄せてくれるのです。その景を、作者がお父さんと見ることが出来たのは、自分のいのちの立会人と一緒にいるようで、とても頼もしく嬉しく感じたに違いありません。
(選評 安西 篤)