伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
優秀賞
小学生の部 (幼児含む)
もういいといってもゆきがふってくる
オニヤンマ何か用事を思い出し
外は雪自分におこって泣いている妹
いっぱいの星座の中にぼくがいる
ガラスふき向こうの父とにらめっこ
冬休み朝礼台がさみしそう
遠足の前の日いつも星を見る
中学生の部
入学式机をさわって始まりぬ
広島がヒロシマとなる日空は燃え
教室を二度もまちがう新学期
名月にあいさつしてから取る団子
土だけの庭の凸凹春匂う
毎日が嫌になっても空は青
二人乗り重いと言わない君の汗
高校生の部
愛犬が僕を追い越し老いていく
短日の青空が濃いと思う今日
二人乗り怒られながら桜道
「寒いね」と会話が途切れる度に言う
登校日みんなの体に夏のこる
背泳ぎを上から見ると宇宙人
赤ちゃんに指にぎられて姉になる
一般の部A(40歳未満)
飛ぶ鳥と夏の流星行き交えり
冬支度父割る薪を母が積み
悪だくみのように着てゆく藍浴衣
青空に笑う干柿くしゃくしゃと
抜かれたら抜こうマラソン冬の空
提案もなくて会議の窓に鳩
シナモンのような少女よ夏帽子
一般の部B (40歳以上)
手のひらに銀河をすくう海ほたる
少年の水槽光るもの育つ
ひとり居のそれも留守がち残り柿
母生きて寒紅梅の芯になる
勝手口より帰省して水旨し
担がれてぽこりと猪のふぐりかな
雪かいてかいて余生の力瘤