伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
ユニーク賞
たきたてのごはんはゆげまでおいしいね
おひさまもプールにはいっておよぎだす
かぜひいたねこのくろにもうつるかな
ほしがきののれんがかぜをあまくする
教室へみんなをすいこむチャイムの音
おたまじゃくし音ぷのようにならんでる
すきだけどパパのおかおはとげだらけ
ひまわりが太陽にまけおじぎする
夏祭りすくった金魚はもう5才
台風でねぐせがついた田んぼたち
あの声はボクに似ているおんちぜみ
くもりぐもかみさま少しおこってる
すてねこに目をあわさぬようかけぬける
わが家からプリンに見えるふじさんだ
しょんぼりとてるてるぼうずぬれている
教室のお花はいつもつまらなそう
お姉ちゃん困った時だけ「女の子」
土筆出て今日はわたしのたん生日
一秒を大事に感じるおおみそか
マンガ読むせなかに殺気母の気配
何しても母に言われる父の遺伝子
ひぐらしやいつも母さんかえるころ
タマちゃんはどこで過ごすのお正月
雪の日は弟以外「ねこ派です」
カメレオン百人一首のお手本だ
新体操の先生大声試合が近い
大掃除捨てるつもりが移動だけ
テニス観戦しんごうないのに右左
はらへった秋の夕日がせんべいみたい
インコがねくしゃみの音をおぼえたよ
雪だるままずどんぐりの目がおちる
書きぞめに「力」いっぱい書き過ぎた
お父さんおふろがザブンと海になる
さんかん日ぼくの心はしんど七
のら猫が空を見上げてなごんでる
手がこおる1時間目はへんな字だ
お年玉母に納める所得税
デメキンの目で追いかける金魚すくい
父の耳にぎる赤ちゃん秋の朝
うちの母じつはヒト科のさくらじま
乳しぼりへんなかんしょくのこる夏
すずめの子こたつにおいでふぶきの日
すず虫の夜通し続く長電話
かふんしょうくしくしみんな土偶の目
初雪や三分間のショーでした
もち焼くと天狗の鼻の出てくるよ
朝出会う犬がわたしの時刻表
風鈴がいばってる今日も暑い暑い
しゃくとり虫気配を感じて棒になる
金魚ばちどんどんふえる祭りの日
冬の朝色どろぼうの銀世界
のぞきたい不気味に笑う母の夢
たくさんの地下鉄路線もぐらの巣
金魚でも名前をつけたら家族です
にぎり飯母の気持ちがかくし味
ジョキジョキと工作のように切られる木
らくがきした机ごめんね雪がふる
父の日をだれも気づかず夏の風
書きぞめでくしゃみ一発字がずれる
募金箱少し入れますお年玉
なぜだろう父のいびきはいやされる
ネコの手のにくきゅうさわりほっとする
子猫たちこたつの中でクリスマス
草千里小さなかえるがいましたよ
始業前井戸ばた会議の職員室
宿題をこたつに広げもちを食う
金魚鉢おまけのチビが生き残り
太陽がいい顔してるこの日曜
眠い時授業時間は蛇のよう
プラモデル授けたサンタがまず手がけ
風せんを飛ばしてしまった君に”ハイッ”
うるさいが最近かわいいおじいちゃん
ぎこちない敬語で話す後輩だ
午後の授業今日もノートに古代文字
ぬいぐるみ捨てる勇気を持てぬまま
祖母の手が素早く動く百人一首
秒針の音を消したい熱帯夜
玉ねぎとレタス人間街歩く
夏の空折り紙にして飛ばしたい
凍りつき気をつけしてる僕のシャツ
山たちもいろんな服を着がえてる
スイカ割りふられた彼の顔思い
転校と聞いて友の良いとこ見えてくる
お屠蘇飲みタコに化けてく父の顔
一桁の背中が重たいユニフォーム
カレンダー毎年変わる壁の穴
いばりたる父も弱音の人間ドッグ
影法師おまえも身長伸びるんだ
青虫のとりこになったうちの猫
入道雲私の心も育ってる
小春日の稽古気もなく攻めもなく
通知票ひろげる前に深呼吸
焼肉屋換気扇から客集め
古戦場今いる僕は海水パンツ
ちがう顔カウントダウンでひとつになる
「受かった」とキョトンとしている君の顔
退屈な猫が見ている鯨雲
祖母が呼ぶ名前出なくて犬の次
ぐつぐつとクラスの雰囲気鍋に似る
携帯の電波が風とからみあう
未再生ビデオがたまる受験生
秋の空同じ目線のトンボたち
日本が青一色で染まった日
綿雲を飛行機雲が縫い付ける
「うるせえよ」親に放った矢が痛い
光源氏わたしが姫なら平手打ち
太陽にすけた手の平夏休み
生き物にいろんな色の顔がある
緑から青を求めて山くだる
やってきた兄の彼女が春つれて
テスト前やけにドラマがおもしろい
冷麦の向こうに見える負けず嫌い
先生の知識はボクの好奇心
「おかえり」とこたつの番人母笑う
天井が低く感じるテストの日
風なびくドミノのようなすすきたち
あてられてちょっとうれしい雪合戦
三センチだからはしゃげる雪の朝
バレンタインチョコをもらえず鏡見る
面接日慣れぬ敬語に舌をかみ
雪ダルマ見れば見るほどこわしたい
バイト代つばめのように飛んでいく
さむい冬毎日朝が二回くる
クリスマス女ぞろぞろ集まった
濁点が抜けている母の初メール
ハンバーガーがぶりとほおばる君が好き
いっせいにメール飛び交う除夜の鐘
残る夏何も見えない影の中
大掃除ごみと思い出分別す
頑張れと他人の絵馬を見て思う
姉の辞書「片づけ」という文字はない
あと少し茶髪ですごす夏休み
大きな木今の地球好きですか
目薬のしずくの先の鰯雲
グランドのあいつのような熱帯魚
くしゃみして春の恐怖がよーいどん
あと二倍生きても女花盛り
宇宙語の少女はいつか翔ぶだろう
夏燕母への手紙筆太に
大学の老後のような春休み
たまちゃんを見たいが為に風邪をひく
クリスマスやって来たのはコウノトリ
わが声を催眠術と生徒言う
お揃いのマフラー捲いて「親子です」
肘までが食べたがってる西瓜かな
遠い日の自分みつけた大掃除
方言が耳にやさしく夏祭り
前を見ろ父の一言グッとくる
旧姓で応えた電話に実父笑う
愛犬と桜の下でお留守番
チョコレートわざわざ溶かして固める恋
子どもにと飼った子イヌは妻の友
ありがとと素直に言えずサンキューと
子を見ずにおしゃべり花咲く参観日
江戸っ子の針に食いつく小ハゼかな
非日常を期待しつつ日々日常
北斗七星まで鳴り響け祭太鼓
お茶摘みは乙女がしてると信じてた…
幼児が幼児を抱く五月晴れ
春一番景気の風も連れて来い
あいづちを打つ夫の耳は馬の耳
面白い三面記事より子の会話
おばあちゃんクリームシチューのような人
転勤の苦労を知らぬか観葉樹
祭果てD51に似た鼾かく
春眠やストンと落ちる別世界
金魚にも三枚目あり宙返り
満月を連れて部活の娘が帰る
孫来ればジジババぱっと若返り
施錠など要らぬ島なリ鰯雲
孫を目で追えばたんぽぽまたたんぽぽ
小春日やすこし音痴なハト時計
マスクして眼の笑ひたる休校日
地下鉄をまた乗り換えた福袋
世の中を虫の目線で見てみたい
裏方を好む男の秋祭
てんこ盛り郷里の自然を喰って行け
振袖の腕出す二十歳献血車
花びらも包んで帰る弁当箱
ニュートリノ我と地球を突き抜ける
蚊を追ひてこんなに広い四畳半
鴉にも見張りのをりぬ山笑ふ
寄せ書は夢の字多し卒業生
夏の蝶赤信号を横断す
文系を理系が越ゆる俳句かな
パズル組む無口の親子夜長し
観覧車下界のドラマ見ています