伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
審査員賞
ゆうひがねやまにぶつかりとけちゃった
五歳という年齢の感性と表現力と言葉の並べ方の見事さに、思わず恐れ入って我が脳みそに活を入れたくなる。
起きてからかいとう時間約5分
かいとう時間、がいいですね。自分の体に敏感、というのが素晴らしいです。
「あっ」という私の叫びで夏終わる
ある日、突然夏が終わるわけではない。けれども人にはそんな感覚があって、そのことを作者は「あっ」と表現したのだ。「あっ」と冬は終わらない。夏だからこそこの言葉は生きた。
席替えがワクワクしない男子校
シンプルで、ふと言い捨てたような調子が自然です。「に」ではなく「が」を使って無骨にまとめました。
落蝉よわずかな時で何を見た
蝉のいのちは短い。まして木から落ちた蝉は翔ぶ力もなく地を這い廻るだけ、その短いいのちの中に何を見たのか。きびしい問いかけの句。
饒舌の口に絡まる蛍烏賊
蛍イカを食べながら喋りまくっている。その中で蛍イカが発光している感じで生々しい。
雪掻くも降ろすも定め蝦夷に老い
蝦夷は北海道の古称。雪深い北海道に老い、雪を掻くのも屋根の雪を下ろすのも決まりきったおのれの宿命。切実な一句。