受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

雲水の素足の寒さ貰いけり

東京都 荻生 みな子 74歳

観音をめぐる一歩の淑気かな

東京都 長嶺 定夫 74歳

胎動を伝へて来る娘牡丹の芽

神奈川県 大川 喜三郎 74歳

朝市や雪の舞込む小銭入

石川県 金井 弘恵 74歳

年の豆数へてをれば眠くなる

岡山県 浜田 粂男 74歳

黄落の一夜の嵩を踏みにけり

福岡県 山崎 紀久江 74歳

月下美人に会ひたるあとの微熱かな

栃木県 佐藤 利夫 75歳

嘘少し混ぜて初夢語りけり

東京都 風間 良富 75歳

パッチンと切符切る駅秋うらら

東京都 大井 正淳 75歳

芒の穂やさしく齢つつみけり

大阪府 公荘 アヤ子 75歳

むささびや小学校は闇の中

愛媛県 大西 秋廣 75歳

氷海を藍に切り裂き初出船

北海道 岩崎 誠一 76歳

切株のごとき靴なり卒業す

東京都 宇佐美 秀峯 76歳

座り胼胝見えて四温の宿浴衣

神奈川県 亀井 京子 76歳

蛇捕りの帽子古びて顔隠す

三重県 堀木 すすむ 76歳

古里に知らない道あり空ッ風

滋賀県 中阪 賢秀 76歳

手品師の幣渡りゆく春の水

大阪府 角熊 汀舟 76歳

夕凍みの中の一音卵割る

福島県 冨塚 六郎 77歳

どんぐりの寝転んでいる子供部屋

群馬県 定方 英作 77歳

携帯で「やあ」と二月礼者かな

東京都 前田 起美子 77歳

農一途老いの手に鳴る種袋

岐阜県 挟土 ゆた子 77歳

童話とは時に残酷青葉木兎

愛知県 河合 たづ子 77歳

菜の花やためらひながら暮れてゆく

千葉県 加賀谷 杵子 78歳

忘れたきことありキャベツ真二つ

東京都 土屋 昌子 78歳

絶好のジョギング日和蕗の薹

長野県 平林 扶見子 78歳

沈黙の重さを知りて鴨歸る

茨城県 谷田部 一 79歳

生真面目に生きてセーター丸洗い

群馬県 川浦 正子 79歳

柿熟れて昔の村にもどりけり

群馬県 中村 定男 79歳

人間に聞えぬやうに亀の鳴く

愛知県 中村 春草 79歳

露天風呂隣りに沈む雪女郎

広島県 大原 康子 79歳

骨密度くるりくるりと奴凧

埼玉県 近藤 敏子 80歳

雪女ひと目逢いたき峠茶屋

東京都 和田 光雄 80歳

くたびれし風の休み場木下闇

神奈川県 秋本 謙一 80歳

小春日に奉仕が光る手話の人

大阪府 藤島 房子 80歳

仲直りしようよ筍堀ってきた

広島県 沼田 一二三 80歳

春愁や外せば重き腕時計

福島県 斎藤 英雄 81歳

手花火の母でありけり女医の夜

千葉県 斉木 佳丘 81歳

手話をもて恋育てをり冬牡丹

静岡県 鈴木 ただし 81歳

種袋ひと坪の地にひざまずく

愛知県 松山 一郎 81歳

よきことの便りありそな梅日和

大阪府 小西 福代 81歳

出来心では不可能な渡り鳥

青森県 下斗米 精一 83歳

靴音の星まで届く寒さかな

千葉県 鈴木 政良 83歳

絵手紙が届きぽつんと雪が降る

福岡県 明刕 隆 84歳

九十を過ぎなば余生胡桃割る

東京都 三浦 久次郎 87歳

さっぱりと何も残さず初鏡

兵庫県 南方 マツエ 90歳

乳しぼる牛一頭や麦の秋

東京都 狩野 浩陽 96歳

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