受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

晩年の煮つまる匂ひ日向ぼこ

東京都 前田 清子 68歳

囀りへ村はまん中から凹む

福井県 塩谷 三都子 68歳

テトラポット乾きて三十五度の夏

愛媛県 一原 晶吾 68歳

花の昼喇叭を復習ふ女学生

福岡県 奥西 邦夫 68歳

目刺し焼く家が一番よきところ

ブラジル 新井 ひとし 68歳

語り部の減りて淋しや移民祭

ブラジル 林 とみ代 68歳

神の留守時差九時間の電話受く

埼玉県 金木 あつ子 69歳

長き夜の誘眠剤の羊たち

埼玉県 青木 良子 69歳

政宗の眼帯ずれる菊人形

東京都 後藤 弘一 69歳

道祖神菜の花畑に寄り添いて

東京都 朝倉 とよ子 69歳

軒先に光り呼び込む柿すだれ

東京都 和智 勝雄 69歳

炬燵にて花見の記事をファイルする

神奈川県 大山 あい子 69歳

天網のあらいざらして秋の空

三重県 山内 柏 69歳

チューリップ指一本でピアノひく

兵庫県 平尾 弘子 69歳

ストローで大夕焼に穴あける

山口県 髙山 幸子 69歳

長い長い物語や毛糸帽

熊本県 永岡 享子 69歳

また逃げる帽子が笑う春一番

千葉県 金澤 満 70歳

仁王門借りてはためく氷旗

東京都 西村 英子 70歳

年齢に拘泥ってゐる蛍の夜

東京都 宮地 真美子 70歳

薄氷を歩みてみたし我が余生

神奈川県 津川 淑美 70歳

菖蒲湯に野球少年もみ合へり

富山県 不破 元之 70歳

寒稽古少女黒帯ぐっと締め

長野県 野中 達雄 70歳

少年をはなれて蛍風になり

大分県 河野 泉 70歳

古希すぎし指には重きショパンかな

北海道 佐川 志津夫 71歳

百匹で川風を呑む鯉幟

青森県 神 繁雄 71歳

菜の花やバスは扉を明けて待つ

宮城県 井口 好平 71歳

ダンス靴持つ手の軽し年始

群馬県 木村 光子 71歳

恋猫の尾あげ右側通りけり

千葉県 髙知尾 和男 71歳

よい夢を見せてやりたい布団干す

東京都 酒井 珠慧 71歳

あたたかやカナリヤ色の孫の靴

東京都 高野 力一 71歳

参道の石も仏も日向ぼこ

長野県 阿部 章子 71歳

霾や卵の中のうす明り

愛知県 石川 利夫 71歳

鳳仙花はじけて用事忘れけり

広島県 蒲池 正 71歳

初凪に助けた亀が来るような

広島県 福田 房恵 71歳

しらうおの游ぐいのちを呑む驕り

山口県 牛島 正行 71歳

ひな壇のひし餅気になる可愛い目

福岡県 梶 達江 71歳

終戰を知らざる母の墓洗ふ

岩手県 大里 幸子 72歳

山笑ふ住めば都のどまんなか

山形県 石川 勇之助 72歳

湖の面に全容を置き山眠る

福島県 江花 修 72歳

こおろぎが鳴いても淋しくなんかない

埼玉県 中野 政江 72歳

禁断の木の実としては軽すぎし

埼玉県 西山 貴美子 72歳

寿命より余命と勝負去年今年

東京都 高橋 利定 72歳

福耳に隣り合いたる新年会

大阪府 黒田 一夫 72歳

囀りになりたき少女トウシューズ

大阪府 松本 洋秋 72歳

白雲を肩にふんわり春の山

岡山県 飽浦 幸子 72歳

綾とりの橋の向うを日傘行く

東京都 豊田 イサ子 73歳

落葉して空一枚となりにけり

神奈川県 志村 宗明 73歳

冬帽子深目にこの世小さくをり

岐阜県 水谷 茂 73歳

初燕大和沈みし海越えて

兵庫県 中井 敏子 73歳

稲妻や今は静かに受け入れて

熊本県 平野 良子 73歳

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