受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

春はまだ寝かされて待つ砂時計

大阪府 佐藤 昭 58歳

この海星は失くした右の手袋

島根県 青木 道子 58歳

手話習い覚えたサインアイラヴユー

鹿児島県 有野 清和 58歳

酒蔵は青大将のねぐらです

福島県 大谷 宣子 59歳

物語始まっている秋の空

埼玉県 守屋 不二夫 59歳

あたたかな日を浴び吾子を肩車

千葉県 清水 重陽 59歳

つもる気のさらさらなくてなごり雪

千葉県 坂本 敏子 59歳

秋空のどこかに時間おき忘れ

東京都 尾根沢 利男 59歳

樅の木に帰りそびれた一番星

兵庫県 富田 幸花 59歳

いま鳥になった気分です六十歳

宮城県 伊藤 輝雄 60歳

年金の家計すっきり枇杷の花

群馬県 林 宣子 60歳

寄せ書きや春の光が踊りだす

埼玉県 田中 暢子 60歳

大根の肩の飛び出す日和かな

東京都 小島 知子 60歳

土の中春の支度でおおわらわ

東京都 吉野 美智子 60歳

春風のやうに来てゐる仏様

東京都 戸田 タツ子 60歳

啓蟄や他人行儀に抜ける風

東京都 前田 昌代 60歳

雪降ると歌いたくなる愛の歌

東京都 荒川 美智子 60歳

ヒヤシンス咲いて夫婦の黙ほぐる

神奈川県 吉田 久恵 60歳

六十の痩身滝に打たせけり

新潟県 内山 秀隆 60歳

曖昧に生きて五合目うす紅葉

長野県 早川 里子 60歳

初恋のひとと見に行く春の海

大阪府 楢崎 進弘 60歳

夕焼けが染めて連れあい若く見え

和歌山県 田中 豊治 60歳

桃の咲く子の縁談のまとまりて

佐賀県 国清 多恵子 60歳

若水を飲んで鏡をそっと見る

沖縄県 大山 一枝 60歳

釣糸を静かに垂らす春の雲

宮城県 藤井 儀和 61歳

結納の話ふくらむ牡丹の芽

茨城県 徳田 敬三 61歳

地球儀のへそをはみ出す初日の出

茨城県 藤 洋子 61歳

各々の冬を着込んでバスを待つ

神奈川県 竹野 憲司 61歳

引き算の美学一輪フリージア

神奈川県 牧野 英子 61歳

振り向けば我一人なり曼珠沙華

静岡県 樋口 英世 61歳

白梅やとっさの嘘はつけなくて

三重県 小山 ふき 61歳

雪しんしん心に秘密ひとつあり

兵庫県 大伴 昭子 61歳

霜柱踏んで地球のど真中

秋田県 竹谷 はるみ 62歳

いつまでも青いといいな地球丸

福島県 五十嵐 邦子 62歳

母が振る手が蝶々になりました

茨城県 樋口 重雄 62歳

孫生まるあたりに告げよアマリリス

埼玉県 植島 恒子 62歳

楽しくって楽しくって草青む

東京都 山本 とり子 62歳

稲雀逃げて逆転ホームラン

東京都 倉持 宏 62歳

春めくやいろいろな音身から出て

長野県 下平 初子 62歳

海を見に登り詰めたり桐の花

兵庫県 石破 ますみ 62歳

バリトンの蝉も混じりて息長し

兵庫県 大山 緑 62歳

段取りを猫に話して春仕度

山口県 河合 知子 62歳

コスモスの中より不意にブルドッグ

長崎県 麻生 勝行 62歳

何言われても聞かぬふり毛糸編む

青森県 柳 はつ絵 63歳

吹雪には土方巽が跳んでいる

秋田県 沓沢 ゆり子 63歳

黒猫の日向に座して睨みおり

茨城県 川田 昌 63歳

柚実る四半世紀を待たされて

千葉県 岩瀬 輝代 63歳

溜めたきは硝子戸越しの冬陽かな

神奈川県 前田 修孝 63歳

にっこりとして本気なる雪つぶて

神奈川県 福原 瑛子 63歳

雪解けて野仏石に戻りけり

神奈川県 藤田 照人 63歳

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