伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
佳作特別賞
春風が先に乗り込む路線バス
元気たいそのひと言にホッとする
陽炎の向ふにキャッチボールの父
水まきの虹のむこうにみらいの子
春泥の足玄関へ来て去りぬ
すみれ草アルトの声の心地よさ
コーラスの聞こえる母校夏木立
墨にして牡丹を白く描きにけり
教室の子どものあくびで春を知り
沸点の手前で止める恋心
秋空の何と重たき逆上がり
足踏みがピタリと止んだ冬花火
凍蝶にかすかな水の臭ひかな
あの頃に戻りたいからレモン噛む
巣立つ子の歌声染みる体育館
ビー玉の中にも春の空気かな
自信ない不安な時に来る息子
ピアスしてひらひら鯊を釣り上げる
あるがまま詫び錆びつけてかたずけず
地雷なき日本の土踏む蓬摘む
甲子園魂ぶつかる音がする
母まねて乳母車押す小さき手
おのおのが好きな方向く冬芽かな
春雷や駅に駆け込む郵便夫
絵心のなさもどかしき紅葉かな
雪が降る前に少しの忙しさ
ミレナリオ僕ら二人の天の川
赤い糸春一番に飛ばされて
老親の介護のトンネル冬景色
イヤホンを突き抜けてくる虫の声
湯に入れば自然解凍我が五体
年の瀬の底よりまぜるカレー鍋
日だまりに満開の笑み福寿草
おしゃべりが止まらない節分の鬼
ゆっくりとゆっくりと行け秋の蝶
温度差を縮めてみたい手を繋ごう
初弘法大きラッパの蓄音機
踏みしめるニューヨークの地白い息
レンブラントと水族館で眠る魚
そんなには望みませんと初詣
コスモスを生けてふくらむ子の花瓶
冬木立チェロ弾くように起きあがる
幼な子の積木崩しの小春かな
葉桜に歩速な時教えられ
一点を見つむ案山子は哲学者
バックミラー見れば母の手振り止まず
春愁や聖書の上のルームキー
噴水の肋は細き風となる
ブランコが揺れて広がる未来かな
パソコンを開ければそこに友がいる




