伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
佳作特別賞
鉄砲百合あちこち向くや大家族
花菖蒲雑巾掛けの修行僧
さっきまで叱っていた子の爪を切る
春の風頬をなでられ顔ゆるむ
契る夜は獅子座流星群あまた
靴下を脱いで苔踏む岩清水
玉葱をポロンとむいたら春だった
無人駅降りれば五感に夏迫る
投函の音を聞きとめ十二月
後ろからふと抱かれしチェロになる
指切りのあとで約束聞き返す
きらめいて水田に老婆一人かな
明け易しきのうの顔を洗いけり
露草や雫の中のまるい空
虹のかけらあつめて君におくりたい
這い這いの思わぬ速さ秋立ちぬ
へこんでる君に息吹く春の風
木漏れ日のシャワーで躰温める
母のまち商店街の高笑い
花だより雨の匂いと共に来る
悪女にはなれず薄氷跳び越える
流氷を砕く音してギブス割れ
どんぐりは転んだ位置で夢を見る
春はすぐそこ私もこれから旅に出る
後れ毛と日傘がゆれた夏の恋
甘夏を持て余したるプロポーズ
喧嘩して仲なおりしてチューリップ
単身のわびしさつのる鍋の中
子らの笑みうつして香るチューリップ
ばあちゃんのアクセサリーは三つの子
月まんまる地球にビルは林立す
暖房が効いてくるのは終着駅
ものの芽のポップコーンのごと弾け
堀炬燵ときに言葉の火花あり
満月がスポットライトの露天風呂
幸せがころり出そうなちまき解く
弓を射るまなざし深し蝉時雨
竹折れて里に響ける牡丹雪
「熱あるの?」そのてのひらが風邪治す
虹を見たときよりもう一人の自分
ひっそりと露草ほどの愛もある
陽だまりに身を沈めたき春の午後
百歳の足にも春の爪が伸び
春雨は眠い眠いの呪文かけ
福袋福の代わりに在庫つめ
吾の中の少女出で来よ星月夜
雪だるま後ろに倒れ空仰ぐ
砂漠には要らぬ兵隊春北斗
春が爪の先から染みていく
主語述語探しています雨水来て