伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十四回
佳作特別賞
初雪や飛べない鳥を眺めつつ
あかぎれを軍手に包みサーブ打つ
朝顔より早く起きたら日曜日
新雪に今日の一歩を描く日記
種まきの土の気分に似ています
雪まみれ脇に抱える新聞紙
夕焼けは何だかジーンとくるもんだ
雪積もる二人の壁は溶けていく
雪の中過去の自分とすれちがう
僕ら互いに鏡のように写しあっている
白息が鬼に見つかるかくれんぼ
青梅雨の午後父と聴くビートルズ
風丸く蝶が知らせる春の時
じゃんけんで負けて雪かきやらされる
山歩きようやく見つけた滝に虹
元旦の祖母の笑顔に祝いの膳
長靴に冷たさしみ込む男鹿の磯
雪だるま寒くて家をのぞいてる
手袋は一つ一つの指の服
人参が嫌味なくらい鮮やかで
ふきのとう雪の中から会釈した
空見上げあの雲全部食べてみたい
白い朝鼻がツーンと正座する
帰り道背中に夜を乗せながら
母の手が小さく感じた卒業式
老木の根本にでんと座りけり
サポーター左のひざに夏のあと
失恋の空をあおげば鰯雲
朝焼けをしんと吸いこむ雪の路
おひさまに連れて行かれたゆきだるま
霜柱一つ一つが響き合う
寄り添えばセーター日差しの匂ひして
鬼ごっこだれより鬼が熱くなる
ピカピカのメガネをかけて花火見る
祖母の家銚子大橋暑くなる
海を見て私の心も無限大
夕焼けが君を家まで導くよ
天井の雨漏り激しく部活オフ
駅降りてななめに歩く風の道
誰だって初めは同じ白い雪
満月の形崩さぬ冬銀杏
跳び箱を跳ぶ時はもう風の中
百円でむかしに行ける資料館
デジタルの小窓を開けて君に会う
負け試合ペットボトルを蹴りあげた
縁側にたたむ着物と雨の香と
こがらしや出口の見えない今の日本
君を待つ団扇に浴衣内緒の夜
墨色に冬のにおい小さい灯り
冬空が母娘の会話聞いている