伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十四回
都道府県賞
北海道
夕暮れの光に惚れた鳥たちよ
髪結えば首すじ春が駆け抜ける
新雪のわだち園児の汽車ポッポ
五線紙に冬の寒さをただ綴る
リンゴにさ生まれ変わったら食べてくれ
青森県
学校のろうかに光る金魚ばち
おみくじに雑念捨てよと見抜かれた
竹筒の中からふわり茶の香り
自転車のペダル踏み出す新スーツ
天窓に憧れし日よ冬薔薇
岩手県
山粧ふ深夜にすする塩ラーメン
雪だるま一緒に春を迎えたい
占いもたまには当たるか桜餅
物干しで夕立を待つ雨蛙
太陽が背から取れない夏の夜
宮城県
見るたびにパーツ増えている雪だるま
北風よ千の鳥居を吹き抜けよ
これ貸すよマフラー持つ手は赤いまま
春休み菓子を持ち寄る秘密基地
ただひとり海を見てゐる冬木かな
秋田県
ありの群れつまさき立ちで歩くぼく
どれにするみかんたちのオーディション
鍋のなかくたくた笑うネギがいる
退屈な水面色めく桜影
雪国のはやい消灯はやい朝
山形県
プールまでおよぎにきたのかえるさん
落ち葉拾いハートの形はポケットへ
風光る引っ越し蕎麦とカレーパン
郭公に目が覚め町は森の色
シャンプーを変える決心除夜の鐘
福島県
まどの外牛のもようの雪の町
体育祭雲間の青を探す朝
観覧車ひかり集めて冬になる
夕焼の缶詰百個開けた丘
たゆみゆく春は鯨になりし夢
茨城県
成績より身長伸びる受験生
今を生きるそれがみんなの共通点
水鳥が零度の空を切り開く
保育器のそば春待ちのベビー服
うれしくて飛び出た枝ともハイタッチ
栃木県
空想の絵日記かいて終わる夏
暗がりを優しく照らす初明り
下駄の音重なるリズム縮む距離
定年や師走の風も他人ごと
万緑のイーハトーブにノスリ舞ふ
群馬県
夏風をふくんだTシャツ帆に変わる
スズランの花の中には小さい子
小鳥の鳴き声第一章終幕の音
紅梅を篭に一枝農婦立つ
小春日の配膳の音ハ長調
埼玉県
世界地図もって春の野の雲に乗る
雪の原傷なき雪をふんでいく
宿題に飽きて青梨剥いてゐる
冬三日月こころの端がほつれそう
犬の名でかわす挨拶お正月