過去の受賞作品

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  • 過去の受賞作品 第三十四回 

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

いとうせいこう選

つかまえてこわくて放した黒揚羽

沖縄県 上地 ひより 11歳

思わず生命を追いかけてつかみ、喜ぶ。けれども生命の動きを感じた途端に畏れが生じる。そして生命から手を離す。とても奥深い体験の一瞬間を素直な言葉でとらえている句だと思いました。まさに俳句ならではです。

吉行和子選

バッタ飛ぶあこがれちゃうわ高すぎて

兵庫県 酒井 優佳衣 12歳

優佳衣さんおめでとうございます。あんなに軽々と飛んでいるなんて、あこがれちゃいますよね。優佳衣さんはスポーツウーマンなのかしら、がんばって下さいね。また楽しい俳句をつくって下さい。

安西篤選

雪滑り引いた曲線二次関数

愛知県 伊藤 圭人 13歳

スキー場での滑走の練習。まだ鮮やかな螺旋のシュプールを描くまでにはいたらなくとも、ゴール近くにカーブして静止するまでにはなったのでしょう。一回ごとにシュプールを確かめながら、先日習ったばかりの二次関数の曲線のように行けたらなと思う。身近な題材からの着想が生きています。

村治佳織選

ギター持ち新生活を探してる

大阪府 三谷 優介 18歳

新生活を探す際にも、ギターと一緒。生活に寄り添う楽器の存在って心強いですよね!私もギターを弾くからこそ、この句のシンプルな言葉の並びが目に飛び込んで来ました。俳句もギターも生涯の友となったら素敵ですね!

宮部みゆき選

まだ知らぬ景色を見せて第一話

山口県 河崎 舞雪 21歳

私は小説家ですから、連載の第一話を書くときは、いつもこういう気持ちです。読んでくださる方に、首尾よく「まだ知らぬ景色」をお見せできたかどうか自分ではわかりませんので、ただそう願うばかりなのですが。

浅井愼平選

ぶらんことベンチの上の錆びた鍵

東京都 庄司 直也 33歳

俳句という詩型の枠を越えて、まるで現代詩のような印象を受けた。読まれている内容のオリジナリティー、リズム、選ばれた言葉の巧みさに感動を覚え、楽しい。

金田一秀穂選

新しいノート買ってみようか春

福岡県 三ヶ尻 さとこ 64歳

中年の慣れ切った日常の中で、いままでしなかったことを始めてみる。このノートには何が書き始められるのだろうか。三日坊主でも構わない。この少し浮かれた気分を楽しむのだ。

夏井いつき選

面接へ今朝は桜の角曲がる

神奈川県 村上 光良 69歳

就職活動の面接でしょう。書類選考で落とされることが多かったのに、やっと面接にこぎ着けました。中七の助詞「は」は、今日こそは!というゲン担ぎかもしれません。桜を見上げながらその角を颯爽と曲がる、今朝の作者にエール。

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