伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十四回
審査員賞
つかまえてこわくて放した黒揚羽
思わず生命を追いかけてつかみ、喜ぶ。けれども生命の動きを感じた途端に畏れが生じる。そして生命から手を離す。とても奥深い体験の一瞬間を素直な言葉でとらえている句だと思いました。まさに俳句ならではです。
バッタ飛ぶあこがれちゃうわ高すぎて
優佳衣さんおめでとうございます。あんなに軽々と飛んでいるなんて、あこがれちゃいますよね。優佳衣さんはスポーツウーマンなのかしら、がんばって下さいね。また楽しい俳句をつくって下さい。
雪滑り引いた曲線二次関数
スキー場での滑走の練習。まだ鮮やかな螺旋のシュプールを描くまでにはいたらなくとも、ゴール近くにカーブして静止するまでにはなったのでしょう。一回ごとにシュプールを確かめながら、先日習ったばかりの二次関数の曲線のように行けたらなと思う。身近な題材からの着想が生きています。
ギター持ち新生活を探してる
新生活を探す際にも、ギターと一緒。生活に寄り添う楽器の存在って心強いですよね!私もギターを弾くからこそ、この句のシンプルな言葉の並びが目に飛び込んで来ました。俳句もギターも生涯の友となったら素敵ですね!
まだ知らぬ景色を見せて第一話
私は小説家ですから、連載の第一話を書くときは、いつもこういう気持ちです。読んでくださる方に、首尾よく「まだ知らぬ景色」をお見せできたかどうか自分ではわかりませんので、ただそう願うばかりなのですが。
ぶらんことベンチの上の錆びた鍵
俳句という詩型の枠を越えて、まるで現代詩のような印象を受けた。読まれている内容のオリジナリティー、リズム、選ばれた言葉の巧みさに感動を覚え、楽しい。
新しいノート買ってみようか春
中年の慣れ切った日常の中で、いままでしなかったことを始めてみる。このノートには何が書き始められるのだろうか。三日坊主でも構わない。この少し浮かれた気分を楽しむのだ。
面接へ今朝は桜の角曲がる
就職活動の面接でしょう。書類選考で落とされることが多かったのに、やっと面接にこぎ着けました。中七の助詞「は」は、今日こそは!というゲン担ぎかもしれません。桜を見上げながらその角を颯爽と曲がる、今朝の作者にエール。