伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十四回
佳作特別賞
赤色の子どもの手がたもう秋だ
空の海七月七日現れる
春の風破れかけてるカレンダー
その瞬間時が止まった青嵐
淡い恋藤のヴェールに包まれて
北風がビュービュー吹いて上機嫌
冬の空魔法のように日が暮れる
兄の物うらやましいな鯉幟
膨らんだ僕の強さと焼いた餅
精米機もがたがた震える寒波かな
花曇り買ったばかりのシャープペン
初富士の麓で走る犬と僕
図書館で本を探さず運命探す
海月のよう面談中の厳しい言葉
草むしりいろんな知識わきあがる
掴めないうどんが私を笑ってる
初日の出左を向けば友の顔
五円玉放る赤い手初出費
なすってさ野菜の中でどの階級
息白し貴方の乗った電車待つ
富士山がにこりと笑うごあいさつ
入学式クロッカス似の君がいた
切りすぎた前髪おでこにすきま風
春の風後ろ姿は父のよう
寒空に自販機光る夜の街
猫じゃらし振るのが下手でひとりぼっち
林檎剥く先生の手の白きかな
祖父の手に一つ握るは白和菊
この筆で塗ってみたいな空の青
ティースプーン一杯でいい春の星
春嵐もうすぐ開くパン屋さん
飛行機に乗って夏雲食べてやる
わたしたちおおきくなったよお雛様
暖房の音のみ響く教室よ
脳の恋する部位はもうすみれ草
握った手突然はじまる指相撲
冬帽に話つめ込み帰郷かな
再会の嘘美しき夏の果て
物語のはじまりのごと狸居て
片耳のイヤホン鼓動に負けている
指先は少女のような初浴衣
立春や千本幟の文字太く
さくら餅重力の差の甘さかな
逆光に桃の産毛のまぶしけり
探梅や血管を行く内視鏡
子らの凧空借り切りの美術展
少年は大の字になりたがる夏