伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十四回
佳作
トランペットまどのむこうに秋の空
寒い時期足にはしもがかみつくぞ
音がする元気な子ども落葉ふむ
登校中マスクの中がサウナだな
夏休み畑の仕事父の声
天守閣町をみおろし殿様気分
金亀子虫の漢字が飛び立った
月までは届かぬ虫を追いかける
柿食べる私のばあちゃん九十代
この頃の目覚めるアラーム除雪音
雪明かりほのかに輝く街の空
白い鳥海辺の君に見えてくる
金魚掬い君を掬えずもう一度
結氷に瞳映らず割れている
陽炎に時間旅行の鍵を見る
初恋のあの子に振られ蝉になる
遠回り届かぬ恋とせまる春
参観日監視カメラが監視中
車座や畳の上に加留多舞う
福袋どこもかしこも戦争よ
モノクロな思い流るる桜東風
川岸の一面占める白き霰
苦しめば私は強くなるのかな
初写真みんなでおなじポーズして
今はなきおばあちゃん家のみかん箱
初雪がもう記憶の底にいるようだ
結晶の小さな輝き冬日和
確認と子供にかえり折る氷柱
下校時の夕焼け空の果てしなさ
サングラスかけてるパパとドライブだ
父の腹焼いてふくらむおもちみたい
八本の母喜ばすバラの束
私見て誰も魅力に気づかない
山霧の中無音が一種のミュージック
炎天下悔し涙と円陣と
風光る右袖を持つ背負い投げ
スキー場駆け抜く友人転ぶ俺
スコップを滑らせ雪の滑り台
雪積もり人の数だけ道ひらく
雪道で長靴たちが譲り合い
妹の小さな手は雪をこぼしてく
朝五時に母起きる音雪降った
冬銀河一つのそらに息ふたつ
菜の花で地面全てが太陽に
雪の街白い信号四色目
「寒いね」もう返事はない帰り道
張り切って引いたおみくじ木に結ぶ
ラムネ玉幼き時分の宝石だ
早足の君に追いつく雪の坂
ちみもうりょう書けはしないが読めはする