伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十回
都道府県賞
愛知県
教室のすみまで光る寒の晴
味見はね私の得意なお手伝い
ブランコの順番待たず秋が来た
ほんのりと過去が聞える糸電話
冬晴や片側だけのバスの客
三重県
大空は雲を招いてパーティーだ
のら猫が迷子の枯葉追いかける
小さい手自分で持ちたい夏みかん
山の端の鈴鹿おろしの風を待ち
クレヨンを使い切ってる夏の恋
滋賀県
茶柱に一喜一憂お祖母ちゃん
自転車で虹の根元へ走り出す
薄着して風と授業が吹きぬける
振袖も十回目となる初詣
ぬかるみは春の序曲のあたたかさ
京都府
ゆきだるまころがしすぎてパパになる
あじさいは雨のえのぐであざやかに
二月三日東北東を皆が向く
木漏れ日の読書に蟻が迷い込む
老い松にシダレ桜が寄り掛かり
大阪府
マッチ棒みんな仲よく住んでいる
入試前えんぴつの先見つめてる
初恋をセーラー服に閉じたまま
神様もクスリと笑う誤字の絵馬
鈴虫の声が運んだ秋ひとつ
兵庫県
かきの木に一つのこったあまえんぼ
すみません先にあやまる通知表
猫の恋向かいの家族増えにけり
眠ってる祖母のまくらにお年玉
山猿と知恵比べする冬の畑
奈良県
新年は何かがぼくをまっている
一点を闘い抜いた真夏の日
鏡見て若さのかけら探しおり
一棹が村の希望や鯉のぼり
初鏡妻と娘は譲り合ふ
和歌山県
初詣で百段登った天満宮
カバンまで他人行儀な入学式
隙間よりささやくように秋の風
春風に乗って初恋走り出す
梅が香や襷つないで走る子ら
鳥取県
やまびこさんつぎは早口だよできるかな
なんだろうこの不思議さが愛かなあ
逆上がり入道雲に引っぱられ
姫りんご酸いか甘いかひとりごと
ネコヤナギ反りて頬打つかくれんぼ
島根県
手をつなぎ落ち葉のじゅうたん歩いてく
年賀状手書きに映る温かさ
肌寒し懐寂し冬の空
人生の味にも似たる抹茶かな
風わたる光集めたあの土手に
岡山県
三ヶ日おせちにあきて塩むすび
雪の音聞こえてくるよ夢の中
発表日笑顔の帰宅母涙
青春の白き線路に風光る
一人かいと問うて来そうな冬木立