伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十回
審査員賞
この金魚足がはえるか手がでるか
これは映画、「崖の上のポニョ」を観たからでしょうか、ポニョは赤い魚から、足や手が生えて、人間の女の子になるのですよね。私はポニョの中で、「声」を担当していたので、記念に選ばせて頂きました。
運動会ぼくより早く起きる父
わが子の運動会となると、父親は日頃の仕事の忙しさの負い目もあって、必要以上に肩入れすることになりがちのようだ。自分が出場するわけでもないのに、いつもより早起きして、やきもきと世話を焼く。善良な父だ。
将来の夢「鳥」と書いてあとで消す
作者は十三才の少女である。彼女のこころの動きがそのまま言葉として残され、まるで美しい彫刻のようにぼくの目の前に現われた。俳句という様式にしばられず、けれど俳句になっていることにも感慨を持った。
ダンス部に男子三人冬の朝
色気も意地も見栄もぞんぶんに出てきた年頃に、仲間のやっかみやからかいの視線に負けじと頑張っている男子三人の健気な姿を、半分笑いながらも愛しげに眺めている作者の視線が、新鮮であり、好もしい。
第一子芽依と名づけて春の風
第一子は女の子だったのだろう。「芽衣」は春の木の芽時にふさわしいかわいらしい命名。折しも穏やかな心地よい春の風が吹き、万樹が芽吹き、あたかも子の健やかな成長を約束してくれているようだ。実にめでたい、いい句だ。
太陽を褒め合っている日向ぼこ
「日向ぼこ」の俳句はたくさんつくられているが、こんな風な気持の大きな作品は少ない。太陽の恩恵を受けての日向ぼこのはずなのに、その恩人の太陽をあれこれ褒め合っているとは、恐れ入った。いや楽しい。