伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十回
佳作特別賞
ゆらゆらと薄のとなりリズムとる
ニコニコと息子はいつも初日の出
春雨にラジオのボリュームそっと下げ
人ごみにそっと裾持つ夏祭
お揃いのマフラーを巻き里帰り
やってやる落ち葉蹴飛ばし逆上がり
ありがとう伝えた後は春うらら
霜焼けが縮めた君と僕の距離
夕立を太鼓の音で迎えうつ
花吹雪恋の終わりを悟る夜
代役の無き母の座よ小豆粥
カーテンを割って押し入る夏陽かな
寒い夜民家の飾り身に染みる
空高くてんとう虫のひらく羽
朝起きて力一杯背伸びする
湧く雲を追って自転車漕いだ夏
携帯電話持たぬ私は鳥のよう
天高し友の背に立つ組体操
また一年自然の恵みと鍬入れる
風止みて魔法のとける鯉のぼり
自転車にひとりで乗れたら春が来た
いないいないばあと言っては息白し
秋灯下ジャズの吐息に触れてみる
仲なおり差し出す兄の手にラムネ
やわらかに樹齢重ねし祖父の梅
春巣立ち冷蔵庫掃除機洗濯機
冬の風夫婦のシャツがダンスする
少年の夏を惜しんで坂下る
シンプルな思考枯野の散歩道
職場から見える巨木で遊ぶ鳥
白水仙寒さの中で胸を張る
古えに思いを馳せて奈良の春
円高が帰宅時間を早くする
こぶし程祖母の作りし蓬餅
エコー画像おなかの中であくび中
七歳の兄の真似してランドセル
夕焼けの後押し受けてプロポーズ
身籠りて妻の色から母の艶
みつけたよ小さなこぶしは春いっぱい
冴ゆる風自転車こぐ頬固くなる
祖祖母が電話で掻巻き送ろかと
張りつめた風の匂いで冬を知り
偶然のクリックひとつ結ばれて
果てしなく睡魔と闘う春の午後
自転車を磨いて春を買いに行く
沈黙がこわくて言えぬプロポーズ
秋天につづく階段駆けあがり
春風よ行こう彼女の実家まで
シェルブール傘を抱えて雨を待つ
池の亀背に乗り背に乗り空仰ぐ