伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十回
佳作特別賞
山茶花やテニスボールの忘れられ
木枯らしが窓を叩いて自己主張
きらきらと流れる稲の穂泳ぎたい
鏡では見えない自分見てみたい
西の空天使のはしご見つけたよ
風船の逃げゆく空や七五三
北風小僧年に一度の晴れ舞台
かぶと虫夏をかかえてやってくる
教室の景色が違う春の風
干し柿に祖母の笑顔を重ねみる
新聞紙秋のにおいに近いかも
夢を追う覚悟を決める立夏かな
右肩に桜をのせて門くぐる
こんなにもやさしい冬があったんだ
鎌鼬過ぎ行く月の如きかな
ちょきん箱健康いっぱい入れました
祖母退院桜も風も笑ってる
初恋は飴のようで雪のよう
何度でも時間を止める鹿おどし
父の背に強い男を学んだ春
赤トンボいつも夕焼け背にしょって
お先にと春と私が競走中
トテトテと可愛い足音手を広げ
モナリザの微笑みさえも乾く夜
チョコレート握って溶けて恋終わる
摩文仁丘老人一人崖を見る
どこまでも飛行機ぐもで旅したい
赤ちゃんぷにぷにの肌と綺麗な心
ひぐらしが夏の終わりを報告中
街中のかもめ一羽から潮の匂い
風船の内側にいる受験生
あと三年祖父としたかった盃交わし
寝ころんで初めて気付いた春の色
散歩道月が行く先決めている
大学が決まったものの火の車
木漏れ日にダンスを踏んだ小鳥たち
青い山誰が絵の具でぬったのか
色なき風だけど背後にいつも影
霜柱見つけては踏む君の癖
桜草いつかは主役になれるかな
ふるさとはなんにもないけどぜんぶある
脱け殻の蝉の背中の故郷かな
月見草何を思って月をみる
ばあちゃんに最近顔を見せてない
踏み出せば大地の拍手霜柱
瓜二つ兄と隣の雪だるま
自転車のカゴはトンボの休憩所
年の暮漢字一字で振り返る
こいのぼりみたいな家族になりたいな
菜の花はてんとう虫のエベレスト
