伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十回
佳作特別賞
おみくじは良いとこだけをひろい読む
寒林や風の奏でるフォルテッシモ
願っても届かぬ想い春の風
とんぼ見て思わずたてる指一本
ぎんなんをつぶした靴を干している
冬の星フルートの音色思い出す
てんとう虫君の背中は火事ですよ
鉛空雨はまだかと蛙鳴く
目を閉じるいつの間にか八月六日
悲しいなそういうときには修正ペン
にらめっこアインシュタインぼくの負け
坂道をはだしでかけるプール開き
梅祭りうめを見るまでのぼり坂
青い空窓ひとわくが芸術品
焼き芋を包む新聞社会面
ベートーベンの『運命』流れる通知表
菜の花がそおっと僕を囲んでる
春の日差し全身で聞く子守唄
新年に幸せ色の種をまく
さくらさく道の真ん中歩きたい
あの橋を虹というのはなぜだろう
雪だるまこっちを見ながら消えていく
足あとをたどっていったら秘密きち
凍てる夜の眼鋭く鬼瓦
夏の森ぜんぶが緑オズの世界
朝露を這い/\進む蝸牛
灰皿に積る話しの冬座敷
手に握る雨でしおれた受験票
日曜日ベンチの上の文庫本
花吹雪マリリンモンローになった気分
書き初めの文字もブルブル手もブルル
しゃぼん玉弾ける一粒真珠の輝き
落ち葉には赤や黄色の小さい手
待ちわびた春の光をあびている
足跡は雪降る町の物語
病院の祖母に届ける年賀状
通知表良くも悪くも小言聞く
おにぎりの形ちがってみんないい
空に住む優しいくじらと泳ぎたい
最終便光が迎える滑走路
春風にマフラーふわり奪われる
黒豆を手塩にかける祖母の暮
冬眠の準備とばかりに買うお菓子
妹に遠慮しながらするかるた
冷凍庫ひしめいている雪兎
空を見た少し答えが見えてきた
イヤホンを外して霜を踏み歩く
落ち葉からゴッホをこえる画家がでた
重ね着で十二単になっちゃった
勉強中猫が教科書のぞき込む