伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十二回
ユニーク賞
つららはねもっきんみたいな音がする
プニプニとゼリーがゆれるたんじょう日
お茶入れてゆげがゆらゆらフラダンス
キュッキュッキュッ足のうらから雪の声
雨の日のてるてるぼうず知らんぷり
ひっこしておもちゃへるけど友ふえる
寒くなり川はかがみになりました
ちっぽけな種が夢見る大きな木
なわとびをいっしょにとぶよ白い息
リフトから見た人達がゆび人形
きもだめしかげをけらいに連れて行く
福耳と言われ続けてもう十年
クリスマスわすれられてる犬のシロ
コンバイン好ききらいありわら残す
赤トンボ転校生にやさしかった
夕焼けを半分に割るたこの糸
エビさんがさっとあげられ衣きる
大あくびスイカまるまる入っちゃう
茶柱が兄の顔みて沈んでく
台所お母さんのひみつ基地
サボテンが私におこった触るなと
アルバムが出てきて中止大そうじ
つうしんぼ開くしゅんかんくじ気分
でられないこたつのわなにひっかかる
測定で息とめてみる目盛かな
咲く色を決めたかつぼみのアサガオは
ランドセル六年使われ定年だ
玉ねぎががんこな父を泣かしてる
冬休みなんだかよくねてほっとした
じぞうさませみがとまって顔ゆがむ
スケートでころんで地球が一回転
大根をはふはふふーふー口に入れ
結婚しぎこちなく呼ぶ堀先生
成績が下がる予感の三学期
思春期の心の中はサボテンだ
梅の香にちょっと得した帰り道
稲妻で今日も始まる盆おどり
先生が俳句の話で燃えている
役立たぬ猫を抱きて癒される
蜘蛛の糸雨で変身ネックレス
大仏の笑顔ひきだす秋日和
絵馬かける位置もこだわる受験生
むなしさが秒針の音に比例する
初日の出あがると山は忘れられ
恋をして下手な笑顔が上手くなる
「おっはー」と恥ずかしげに言う父がいる
おじさんの方言分からず愛想笑い
夕立や母の小言もひとやすみ
澄み渡る空を吸い込む大あくび
土の中ビンビンビンと春の鼓動
問題を除夜のリズムで解いていく
五本指1つは彼の予約指
光合成冬の私の特技なり
のきつらら寒さを示す棒グラフ
除夜の鐘僕の心を漂白中
夕焼けに色を塗られたカブトムシ
雨あがり道端に空が落ちていた
雪山に同じ白さの月のこる
私より美人と言いはる猫のマリ
窓ガラス拭いたら空が近づいた
携帯のむこうの幸せ握りしめ
田のかかしいつも片足筋肉痛
かき氷いろんな色の富士の山
猫の目の中に降ってる青い雪
浴衣着て違う自分になりすます
雪だるま一人ぽつんとバスの外
ばあちゃんの靴でおいかけ焼芋屋
卒業式ツッパリ野郎が泣いている
最終回オレのバットで夏決める
父の背が戦う相手初鰹
初孫を抱いて泣かれて親父泣く
さっき別れた友のメールは「虹だよ」
おやすみと寝ながら話すふすま越し
野良猫の世渡り上手甘え声
しゃぼん玉私のようだ親離れ
影へ影へ逃げ行く自分夏初め
五円にて激しく鈴を振り回す
オオカミになりたいくらい冬の月
バレンタイン失敗作は父の分
織姫と彦星今はEメール
涙泪ときたよやっぱり卒業式
しめ飾り盲導犬の犬ごやに
夕立のにほいが好きで外へでる
紫陽花の家駆け出して行ってきます
山笑う私は花粉で涙する
わが心覆うに少し足りぬ雪
ランナーに道を譲って春一番
君がいて僕もいた日に戻りたい
サスペンスいつも途中で眠る母
先着百羽までです白鳥様
古通帳見つけて見れば旧姓のまま
かたつむりのんびりしているわけじゃない
社長より猫になりたい冬の朝
ソーダー水耳をすませば波の音
「失くすから」家で携帯使う母
三日月を誰が食べたと子供言う
えらそうに指図しているほうが部下
サイドミラー入道雲をつかまえた
力士より行司がひらりと主役張る
仲いいね!お茶飲む姿母と祖母
鼻歌にハクセキレイがタクトふる
しもやけの話笑われ新世紀
思ひ出し笑ひの後の寒さかな
七十の母には勝てぬ握り飯
金賞の菊師に窮屈背広服
故郷の海の音出す洗濯機
モアイ像の顎の角度で見る花火
みんな居てみんな寝ている夏休み
まっ青な空くすぐって柿をもぐ
夕焼けて向日葵少しくつろぎぬ
シンプルに生きる白シャツ丸洗い
気がつけば本気で雪を掻きにけり
花冷えにホットな東京タワーの灯
かけもちの神官を待つ初詣
卵白を泡立て夫婦別姓論
春炬燵鰐のごとくに這い出せり
地虫出て先づはぶつかるところまで
兜虫子の小遣いを背負ひ這ふ
元旦やスペイン産の本まぐろ
つらら折り剣よレンズよ下校の子
持時間不明なれども冬支度
もぐら打ちもぐら知らぬ子ばかりなり
千手観音どれが耕すみ手ならむ
鯛焼きのしっ尾いただく春の風邪
着ぶくれて着ぶくれし子を診察す
野遊びの子に強く吹く保母の笛