伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十二回
都道府県賞
北海道
流れ星早口の中逃げてゆく
通過駅干し大根が似合う町
コーヒーと音楽を揃え目を瞑る
青森県
さつまいもどすこいどすこいせめてくる
夕暮に沸騰しそうな日本海
大つらら見上げて入る勝手口
岩手県
お月様海の鏡で化粧する
張りつめる空気を切って的を射る
たべかけのポテトチップス昼の月
宮城県
赤い糸結び直してフルムーン
マンボウもマンタも昼寝春の雲
胎内にいる顔並べ日向ぼこ
秋田県
かみさまに目かくしされるふぶきの日
繭になるひとり密かに揺れながら
軍手から湯気立ちのぼる除雪デー
山形県
弟にミルクをのませママきぶん
何もかもリセットしたい夜もあり
地球儀の裏より嫁ぎ若菜摘む
福島県
重なった手があたたかいカルタ取り
髪切りて揺らすものない秋の風
花屋さんになりたい孫の花図鑑
茨城県
やまないで雪よ悲しみが埋まるまで
ポスターのモンロー笑顔春の風
塗り足してだんだん笑う山となる
栃木県
履歴書に無職と書けぬ蘭白し
ぽっかりとただ何となく春の雲
音がしたような気がして天高し
群馬県
深呼吸何度もしてるみかん風呂
ねここねこひとかたまりでねむりこけ
近道はくの字に曲る秋の山
埼玉県
部活なしテニスコートに雪が降る
赤トンボ父の愛した小津シネマ
夜半の雪秘密のごとく降りにけり
千葉県
パパのひげトゲトゲしてるにちようび
お陽さまが食べてしまった雪うさぎ
ロボット犬われと春愁の貌で棲む
東京都
新世紀始発電車は出たばかり
故郷の紙につつまれりんごかな
叱る子のいなくて広き夏座敷
神奈川県
改札口四角く切られた港町
ひまわりは太陽だけを信じてる
嬉しさは孫の片言初電話
新潟県
熱帯夜川の二画目横になる
シャッターチャンス父の日の父の照れた顔
空という国からお越し赤とんぼ
富山県
公民かんわすれたぼうしまどのそば
冬は長い川のようにながい
螢烏賊ひかるは青き泪かも
石川県
焼き鳥を一輪差しに差してみる
砂山のトンネル掘ると夏の海
妻握る不揃ひの鮨春隣り