伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十二回
審査員奨励賞
マンションはやねよりひくいこいのぼり
歌で聞く鯉のぼりと、目で見たギャップを表現している。少年の目の高さで見ている世界観に心を動かされた。
学校は家より笑える所です
学校から帰って、家では無表情だがそんな学生にかぎって学校では休憩時間や授業中でも笑顔を見せて自分自身を開放しているものだ。
目の前で鯖をさばいたお父さん
親父カッコウいいぞ、と手をたたきたい気持ち。それも特別なものではなく、鯖だからよい。生き生きしている。
コンパスをまわすと一人のバレリーナ
「バレリーナ」とは、いかにも女性らしい感性の発想です。少女期の弧を描く心の中まで想像できそうです。
女同士母と初めて恋の話
作者は十七歳、高校二年生か。まだ真剣は恋の経験もなく、恋に憧れる年頃か。母子の心の通ふほほえましい情景。
力抜いて流されてみる春の川
肩から力を抜きなさいと言われても、簡単には抜けるものではない。春の川のやさしさが、それを可能にしたのです。
産声は80ホーンのまっかっか
赤ん坊の生命そのものをつかみ取ったような句です。生れたてのパワーがビンビン伝わって元気になります。
梅咲くや「おい」と云ふ名になりきって
この、なりきって、というところに強さを感じさせます。決して、「おい」だけではない、自分の人生もあるわよ、と言っているようです。