伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第十二回
佳作特別賞
もっと散れ一人で帰る落葉道
白い息一緒に走る兄が好き
白い息私は毎朝汽車になる
寒いねと私にくれる白い息
よし上出来ふと気がつけば母の味
生命の時間をつなぐDNA
冬の耳氷のようについている
わくわくが浴衣着ている夏祭り
君への思いこの風船が割れそうだ
踏込んだ枯木の中のあたたかさ
冬のサッカーじんじん痛いボールかな
魚にも鳥にもなれず歩いてく
図書室の隅のさみしい無傷な本
雪降って少し昔が見れたかな
刈りとった田んぼの中から冬のにおい
体重計ピアスはずしてそっとのる
帰ったら犬の散歩だ雲の峰
青嵐大鉄橋を汽車が行く
雪を見て犬より喜ぶお父さん
ほしがきのあまさは祖母の温かさ
泣くまいとブランコの風強く切る
星空を冬のギフトにしようかな
くずかごでおつかれさまのおちば見~つけた
万緑の呼吸の一部になってみる
ダッフルのフードでかくす涙のあと
桑の実で手のひら染めた幼い日
年休をもらって猫と昼寝する
雛に会い雛の目鼻で眠りけり
打ち寄せる岸辺がなくて冬の旅
嫁ぐ日にグラスの向こうでにじむ父
おてんばでスカート知らずもひな祭り
木枯しの吹く日馴染みのパン屋消え
負けないぞシングルママは風を切る
子供の手頭にのせると春の風
満ちたりし光蜻蛉の羽の影
夕焼けを見て少年に戻りけり
ストレスも出せたらいいなゴミの日に
つちのこに齧られている春の月
歩道橋黄色い帽子のヒヨ子たち
ちびかいじゅうねている時はおひなさま
今日の日が癒されてゆく夜の梅
なつかしいにおい子供の給食袋
春間近ねむりひめなど演じよう
風の子とかけて笑えばわれも風
まだすこしお化粧下手な紅葉たち
たんぽぽに内緒話のもんしろちょう
サイダーの泡のごとくに働きぬ
冬瓜も人も水分ばかりの身
なぜ生きるそれを知りたいから生きる
宝石の量り売りかな芋の露