伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十一回
都道府県賞
愛知県
照れながら手伝おうかと母に聞く
日焼けした私の顔はカレーパン
冬の窓過ぎれば頬に冬林檎
妹の歌声響く柚子湯かな
秋雨はトーテムポールの木の香り
三重県
ヒマワリを漢字でかくとかっこいい
自転車を降りて出会えた蒲公英の顔
遠い遠い絵画のような空に触れたい
改札を抜けて駆け出す青い春
逆上がり池持ち上げるあめんぼう
滋賀県
大吉を何度も見せる小さな手
うららかや風が親子でやってくる
山笑う歩きつづけるだけのこと
つるし柿息深々と山の里
諍いの星のかたわら望の月
京都府
サーブ打ちボールも自分も夢へ飛ぶ
春隣前方指差す運転士
冬深し駅のホームの話し声
じやがいものような奴らと三次会
すぐそこと言ふ炎天の田舎道
大阪府
ぼくじょうに行ったら羊がくものよう
プカプカとうかぶすいかとぼくの夢
扇風機叩いて直す父の癖
流れ星みえるところに旅したい
手をつなぎ眠る二月のおまけの日
兵庫県
けんかごとロケットにのせさよならだ
歩み寄る秋雨滴る神の鹿
片足を浮かせて秋の体重計
少年の頃こがらしは友だった
靴ひもがほどけ四つ葉のクローバー
奈良県
茶ばしらは茶の真ん中の幸せだ
花まつりもう満腹のおしゃか様
顔埋め香り吸い込む今年藁
水切りと一緒に跳ねる若鮎か
ノーサイド一人つぶやく定年日
和歌山県
渾身のクリスマスケーキみな笑顔
晴れるかな君の口ぐせ夏の雨
草茂る丘をぬければ秘密基地
シャーペンの模様薄れる年の暮れ
帰るたびわたしがわたしに戻る町
鳥取県
さくら咲く皆に同じ春が来る
ニ短調秋の調べの立役者
暴れ蚊を許して午後の草むしり
三月の試着室からオノマトペ
土筆摘み紙飛行機になるあなた
島根県
耳ひえるさるより赤い耳になる
どこいった俺の大事な第二ボタン
夏の星隣の露天から演歌
夕映えの輪郭くずして笑う君
秒読みのこゑは置去り天高し
岡山県
衣替え古い記憶も塗り替える
寒空の月がキーンと目に響く
貴方の手暖かそうねをきっかけに
流れ星映画のようなキスをする
イカロスの翼も炎ゆる模擬試験
