過去の受賞作品

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伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

村治佳織選

海の音色んな音がまぎれこむ

兵庫県 岩尾 和花 9歳

街の中でも色々な音は聴こえますが、自然豊かな場所での音の聴こえ方は違うもの。まぎれこんでいる色んな音にじっと耳を傾けていると、時間軸さえも越えて人生その時々の色んな音が聴こえてくるかもしれませんね!

夏井いつき選

書き初めの筆がどんどん乾いてく

神奈川県 小池 灯 11歳

「書き初め」って緊張する。最初の一筆はこの位置に打ち込んで、そこからぐぐーっ……と考えながら半紙を睨んでると、「筆」の先が「どんどん乾いてく」。握りしめる筆、墨の乾く匂い。嗚呼、半紙の白が眩しい。

吉行和子選

うちの犬雪にころがり天ぷら状たい

兵庫県 志賀 燈子 11歳

そうそう歌にもありますね、犬は雪が大好き、遊んでいるうちに、雪だらけ。それを天ぷら状たい、と思うのが、とてもセンスがあります。すてきでした。

安西篤選

成人式姉の後れ毛かがやけり

静岡県 中尾 ひまり 14歳

お姉さんの成人式での晴れ姿を見ています。入念なお化粧にどこか大人っぽい雰囲気が漂っています。ことに髪の後れ毛の少し乱れた感じが、まぶしいほどにかがやいて見え、急に大人になってしまって少し淋しいような、ちょっと自慢したくなるような気分でした。

黒田杏子選

年の瀬に遠くを視てる祖母を見る

愛知県 岩津 椋也 17歳

17歳の岩津椋也さんのおばあさまは60代でしょうか。お元気でお若い方だと思います。でも作者にとっては祖母。年の瀬がよく効いていますね。遠くを視てる祖母を見る。作者の心の豊かさ、優しさに感動いたします。

宮部みゆき選

春風や一人で立てぬぬいぐるみ

神奈川県 中桐 克之 22歳

我が家にも、同居して四十年になるぬいぐるみが一匹います。毎年、温かい季節になると丸洗いしてやります。くたくたと頼りないその手触りが愛おしい。たくさんの思い出を背負ってくれてありがとう、と。

金田一秀穂選

いわし雲わたしは今日も迷子です

京都府 大森 さち 39歳

秋空を見上げていて、空気が澄んでいて、青くて、困ってもいないのだけれど、なぜか途方に暮れている。生活を続けていながらどこか不安であることに気づいた。そんな一瞬は大人になってもあるものです。

浅井愼平選

蝉時雨青き切手を選びけり

福岡県 志水 聖 44歳

まるでシュールレアリズムの絵を見てるような感覚に襲われた。こんな気分の爽やかな夏もあるのだと。

いとうせいこう選

履歴書を買う還暦やつくしんぼ

東京都 林 由美子 60歳

人生百年時代などとおだてられ、余裕もなく働かされているが、では何もしない時間が欲しいかというとそうでもない。履歴書を買う還暦はまだまだ迷いの時期なのか。しかし、それを「つくしんぼ」というのがいい。

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