伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十一回
佳作特別賞
作詞中失恋ソングしか書けない
海になる孤独の鯨に会いたくて
ひまわりは多くの未来をもっている
適当にぼーっとしてたら十八歳
白雪に埋めた想いよ見つかるな
誰残すアンダーライン梅雨読書
夕空に卵を落とし半熟に
フライングの銃声二発空高し
ぼくいつもさくらがさくとさびしいよ
花を摘む我が子の後ろに紋白蝶
桜色爪の先から衣替え
握手して指のささくれ寒明ける
春の森切り株に乗り手を広げ
お姫様見るたびママと呼ぶ王子
冬空に瞬く星の交響曲
五線譜で捉えきれない梅雨の歌
小春日や何でもない日のチョコケーキ
おとこよりおんながいいとやきししゃも
袋ごと豆まきする母働き方改革
電柱が月まで伸びる帰り道
小さな手いっぱい汚して輝く瞳
営業がネクタイに雪つけて来る
きさらぎの響きガナッシュチョコレート
帰省子を迎える老いた犬の鼻
生きている切り株ひとつ冬銀河
啓蟄やカミツキガメの甲羅干し
五百円線まで貯めて温泉よ
早春よ私の家に来ませんか
木杭にロダンの如き川鵜かな
白桃を剥きたし見つめ続けたし
コロンより湿布の匂い似合ってる
陶器市一巡りして春惜しむ
団栗の落ちる夕陽の落ちる音
大掃除スマホを置いて雲隠
空き缶も乗船拒否せず花筏
そつと来て寄り添ふ仔犬寒すばる
木星も散らしてしまふ揚花火
春愁やアボカドの黙真二つ
うんどう会からあげウィンナーわかなごはん
くるくるとわたしも背のびトゥシューズ
七五三きんちょうしたよほんばんで
たけとんぼ令和の空にのぼってく
ミニトマトミニトマトってかわいいよ
たいふうでまつぼっくりがはしってきた
さくらちる山へ谷へととんでいく
もみじはねあかるいみちをつくります
一輪車ふわふわ雲のかげの下
星空が東京よりもきれいだな
帰せいから帰ったわがやしんとして
お年玉空からおちてくるえんぎもの