伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十一回
佳作特別賞
弟がためすわたしのランドセル
ブルブルとふるえる木からさくらさく
しも柱まほうのような楽器だよ
朝顔は朝になったらしゃべりだす
梅の花ひらひら落ちるすべり台
てんとう虫いつまでしてるのひなたぼっこ
町じゅうが匂袋だキンモクセイ
大変だ急いで書こう年賀状
ねむってたランドセル起こす新学期
春の陽がつくしをそっと起こしてる
耳元で春が来たよと謎の声
温便座尻を逃がさぬ冬の朝
初夢は気になるあの子と席となり
何だっけ？去年の抱負忘れてる
羽子板で不安はじいて年迎え
口の中秋色ひろがる栗ごはん
風りん屋色んな音を売っている
大工さんえんぴつ耳につけてたよ
海の向こう水平線が澄んでいる
消しゴムで消えない過去を作ったよ
冬の朝悪魔のベッド口開く
曼珠沙華私を引き寄せ離れない
親友はスルメのように味がある
桜散るみんなの影が歩き出す
ショートヘアだからといって騒ぎすぎ
太陽を背にして染まる唐辛
海の中君を見つめる魚の目
道端の小さきエール帰り花
最年長少し手を抜くカルタかな
人混みの肩から昇る初日の出
ぶつかってごめんと言えず終わる冬
夕ぐれに君のとなりでのびたかげ
熱気の道場一人静かに面つける
生命の静けさ語る帰り花
障子貼る祖母のその手は暖かい
蝸牛進んだ道を戻らない
放課後のガールズトークは薔薇の下
青すぎる空が私を迷わせる
意志堅固ラケットを振るオリオン座
忘れない川に向かって叫んだ日
花茣蓙の香りもいいな昼さがり
冬の朝筋肉痛が心地良い
船に乗り歴史と川を下りゆく
秋の道まつぼっくりで転んだ日
梅雨の日のビニール傘に透ける友
万華鏡回し始まる四日かな
喧嘩した私の靴下また迷子
手をつなぎそのつなぎ目が宝物
ブルペンで一人苦しむ長い冬
菜の花と鰹節おどる祖母の味
