伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十一回
佳作特別賞
バスが来るこれから私が生きる街
ランドセル預かり西瓜渡しけり
テレビつけパソコンつけてスマホ見る
見つからない就職先と雪景色
恋みたい三寒四温もどかしい
ひまわりは泣くことさえも許されず
猫柳ほつほつ風の句読点
言い訳は食物繊維よ焼き芋は
夏休みマスをはみ出す句読点
ぶらんこのぐんぐん春を引き寄せる
恋人に追いかけられるお花畑
梅雨晴れ間大陸のような蒙古斑
ネクタイの結び目緩く春立ちぬ
雲の峰きっと信号ずっと青
ペディキュアの色をわすれて秋をゆく
お迎えに広がる笑顔冬銀河
テストの点私に貼られた値札のようだ
虹といふ手話を使って日曜日
腹筋を十回バレンタインデー
しりとりのはじまりそうな春の午後
噴水の息継ぎの間に話し出す
父くれた葱にエールを送られる
なんてことふえるわかめが増えすぎて
蝋梅のさやけき香り春一歩
向日葵を表札として終の家
早梅や百のレンズに凛として
秋の陽を弾く錦の鱗かな
振袖のくるりくるりと山笑ふ
私には私の歩幅あめんぼう
いぬふぐりどの道ゆくも札所寺
一点も拭き残しなし秋の空
畳替え終えて私は長方形
人間がやわらかくなる日向ぼこ
春来たるキャリーバックと時刻表
釣り人の擬似餌ばかりや天の川
土筆ん坊三階建てのマイホーム
海曳くか仁王風情の潮まねき
廃校の宿はチョークのお品書き
初山河少女の抱く羅針盤
クローバーの四つ葉をはさむ母子手帳
蒲公英の種や定年退職日
さわやかにいにしえ語る船頭歌
鰯雲わたしも群れの中にいる
突然の鶯カメラはみ出して
試着室新入生の笑い声
棒で書く線路どこまで赤とんぼ
段々と空押し上げる大根掛け
いもうととつないだ手にも千とせあめ
かたたたきいつのまにやらしらがとり
なつのうみなみはせかいとつながるよ