伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第三十一回
佳作特別賞
新しいテキスト二ページ冬うらら
父さんのおいしいごはん夏の朝
古城たつハイデルベルク冬の星
弟に俳号つけた春疾風
飛んでゆけテニスボールに春一番
冬すみれ三人分の図書カード
桜貝小瓶に詰めてまた来年
大寒やかみしめているメロンパン
木枯らしで春まで乗せてくれないか
ジングルベル今夜は戸閉まりしないでね
胸元のボタン外して小春空
かりがねや無人校舎に木霊して
熱帯魚ひらひら見合い話かな
マフラーに閉じ込めた声隠しごと
湖に月がとろける熱帯夜
悩んでも未来は未来過去は過去
星見つめ地球の一部になった夜
たかいたかーい秋晴の空からよだれ降る
ふとんやわらかおやすみブルーライト
汗拭う待合室は海の底
野鳥図鑑めくる指先春の風
げんまんで切れない小指や春の月
向日葵やすぐ海に出る港町
みたらしの飴色とろり春の空
軒の氷柱ポタリ馬の耳ピクリ
似顔絵につける注文秋ざくら
脳みその脱皮したがる熱帯夜
花嫁がやってきそうな春の波
聖樹にはまだ触れぬ爪紅く塗る
桜鯛うろこは花の化石です
ポイントで買った白靴ひとり旅
サイフォンの火のちょろちょろと夜の新樹
冬天へきそふ天守と観覧車
泣きそうな夜空に眠る天の川
薄墨の空に溶け合うモンシロチョウ
ブランコがつめたくないよもう春だ
いすさんはおもい人でものせるんだ
のきしたに雪がひっそりとけおちる
今はただずっと待ってる冬の蝶
「着膨れと信じたいわね」と笑う祖母
電線にふっくらすずめが腹で乗る
口の中ほのかに香る冬林檎
プールの日突然でてくる耳から水
紅のマントをはおる雁渡し
星空に寒さはあるか帰り道
反抗期まだ終わらない冬の夜
たんぽぽをきれいな空へ送り出す
地球儀をふらっと旅して太平洋
刈りたての球児の頭新松子
「寒いね」と話す小鳥の声がする
