伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十一回
佳作特別賞
そよ風があたらしい芽をみつけてる
心にも色んな天気が住んでいる
葉桜や空の青さが目に染みて
十七歳既に味わう会者定離
雪晴に探す彗星の忘れもの
知り合いのほくろみたいな冬北斗
夕焼けのシャッターチャンス染まる頬
ひぐらしよまだまだ鳴くな課題の山
街中が仮面をかぶった人ばかり
山登り霧に紛れて冬椿
幕閉めだ青春という名のサーカスは
太陽のことはタンポポが分かる
ワクワクが胸から溢れて入道雲
中央線の下りが目指す雲の峰
隙間風諸行無常の音がする
乾杯のラムネは空の色をして
5階から隣家の庭の梅借りる
少年のサービスエース春の昼
先生がみんなにあくびをくれました
友達のスーツ姿に焦る僕
しりとりを愉しむ母子夏の果
雨真珠つらなる枝の冬もみぢ
昔々いたるところに秘密基地
じいちゃんのお米が届く神無月
過去問とノートとペンと冬銀河
回送のバスに乗りたい春の鬱
ふらここに前後上下といふ自由
押入れの春へはみ出すワンピース
貸切の各駅停車上野行き
春を巻き込んでかきあげる前髪
スマホのみ持って出掛ける年の市
手のひらにK点超えの牡丹雪
青春は空に飛んでる金魚かな
カモメらの水平線に響く歌
帰省して変わった町と君の姓
雲ひとつない春の日はメントール
赤とんぼ消失点に向かう雲
寒緋桜ニライカナイへひらり発つ
春日傘埠頭の雲の軽さかな
蛇苺母には言わずポケットに
はつあきのゆうぐれているひがともる
今年から同じ苗字の年賀状
焼きすぎたのか喋らない秋刀魚
里帰り実家で着るのは母の服
動かない釣竿の先くじら雲
たまらんなプリプリお尻第一子
囀りをぱたんと閉じて文庫本
夏過ぎて迷子の雨雲ばかりかな
ヒールの音高くなったら冬一番
入道雲抱き上げてみる誕生日