伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十回
都道府県賞
千葉県
ブロッコリー小さなパーマ大集合
水道を全開にしてあびた夏
土筆たち折れず折られず仁王立ち
あなたには私の知らない梅雨がある
オリオン座田舎も案外わるくない
東京都
妹はもみじひろって見せに来た
友達と一しゅんつながるせい電気
冬休み家族の中で時差がある
サングラスかけてあの日の父の顔
道案内して遠回り天高し
神奈川県
雪が降り地面も私も厚着する
できたての私がうつるりんごあめ
マフラーを編んで解いて春は過去
棚田へと降り立つ朱鷺のテレマーク
たんぽぽは未来をあきらめてはいない
新潟県
節分のタンスの下のらっかせい
あをによし奈良の老舗の長火鉢
飼い猫が障子を破る大晦日
明日から髪を伸ばすと決めた午後
水族館クラゲに心見透かされ
富山県
コイの目はにじいろ空をうつしてる
柿の木が空をけすほど実がなった
大もみじのゴールは広い露天風呂
つながりはしがらみにも似て烏瓜
夏近し何になろうか万華鏡
石川県
家族の輪欠けていく時18才
丼が仏具となりぬ盆休み
打ち水に小さき虹たち見つけたり
シャツ脱ぎし子は原人となる極暑
行きよりも大きく見えた早苗かな
福井県
楚々として乙女のごとし春キャベツ
神さまに叱られそうな願い事
逆上り出来ずに老いた青蛙
夏帽子どこに置いても待つかたち
カタカナで蛙鳴きをり旧街道
山梨県
不器用な父のおにぎり受験日前
あの丘を越えると見える桃畑
硬直化自然と上がる冬の肩
大仏よたまには横になりたいか
年号を三つ跨いだお雛様
長野県
スキップでたまには帰ろう大人だけど
潮騒を自分の中に持ち歩く
湖面ごと引き連れ鴨の翔び立てり
一山を守れるブナの芽吹きかな
鉛筆で春を切りとる写生帳
岐阜県
冬うららとびばこ8だんとべました
紅葉だ後もうすこしで赤が勝つ
真っ白な人生に架かる冬の虹
ししおどし祖父の居眠り真似してる
運勢は気にするまいぞ納豆とく
静岡県
兄の手のえんぴつダコに春来たる
玄関に靴がいっぱい福笑い
飛行機よ虹の架け橋繋いでけ
横顔とポインセチアに秘めた恋
猫の目の中の自分が本当のジブン