伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十回
佳作特別賞
秋深し甘さのしみた卵焼き
いつの間に僕より低き聖樹かな
冬雀堅い青空突き抜ける
広い空テストの範囲と同じくらい
大掃除いつもの机が広すぎる
授業中時計とこんだてあと五分
秋の葉と色どりもえるたすきかな
秋の夕暮れカラスの声と君の声
お正月みんなそろって大荷物
荒れ野原ゆれるすすきと一輪車
測定中母の姿はフラミンゴ
書き初めの出すのはいつも一枚目
セミの音をきいたら魂あふれ出る
眠くなる理科のお話花吹雪
水筒に毎日入れた暑い夏
黒板は生きているから花吹雪
寒鰤の寒さに負けぬ固い顔
女の子マスクの中は見ちゃいけない
願い込めシューズ磨けば除夜の鐘
日脚伸びる白紙の上に僕の影
ぼくじゅうのにおいがすると冬休み
新春の津軽海峡後光さす
書き初めで大と書く夢どこまでも
クリスマス箱の中身は親の愛
水売に人をも居らぬこの世かな
大晦日カマキリの卵そのままに
ぷかぷかとお鍋でくつろぐおでんたち
リモコンのボタン押しけり大晦日
人生は辛くて甘いシナモンだ
夜の森迷う少女に蛍たち
冬空でゆっくり翔る白い馬
反抗期弁当だけはいただきます
白い山アルミホイルがかかってた
小春日が白いカーテン照らしてる
陸上部初めて敬語使う春
刈った稲重みがうれし一輪車
夕焼に背をむけ話す帰り道
四月晴れひこうきぐもが一とかく
紫陽花の青紫と暗い空
春の野はパステルカラーのカーペット
キャンバスに描いた模様は私色
だるまの目かぞくの決意みまもる目
金目鯛見つめ合うほど大きな目
初日の出僕の昨日をおいてった
氷ならすぐ溶けるのにこの難問
寒明けや曇る車窓は自由帳
夕焼に染まる孤高のフラミンゴ
哲学が思春期僕をループする
石段を登った数だけ福が来る
友達の秘密守るよ桜貝