伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十回
佳作特別賞
あの町で取れた緑の小さな葉
立冬や街灯ともる中帰る
コンサート視線が合って風薫る
教室のひとりひとりが渡り鳥
群青を染めていくきみと白い僕
ゆずしぼり手の残る香の強きかな
消しゴムのクリクリ頭僕の夏
学級が白くなりゆく更衣
八月の海や朱色の絵の具足す
みつばちの羽音とぎれて雨の音
ふぞろいの大根漬けや箸の数
英単語覚えるごとに桜咲く
正月の曇天龍が出てきそう
君の眼を融かして消えゆく遠花火
アスファルト滲む斜面と蝉時雨
オムライスの布団にもぐるお昼時
風薫る黒板たたく音が好き
朧月友と語る我が未来
テストなんてどこかに行っちゃえ鬼は外
光る汗真っ直ぐな眼差し美しい
カラカラに乾いた僕の喉と恋
無造作が心ゆさぶる大雪原
凍雲が悲しく自分を包みこむ
液晶を眺めて終わる冬休み
帰り道なびくマフラー巻き直す
夏風の吹き込む静かな自習室
寂しそう茶碗の端にご飯粒
おっこちて帰ってこれぬまぶたかな
校長の口癖数えて夏果てる
鶯の鳴き声を追う君を追う
知りたくてハートの角度を分度器で
この1本決めればチームの波が来る
夕焼けやとんぼの家族けんか中
チューリップ初めの一歩を見とどける
また遊ぼ言ってみたけどそれきりだ
木枯らしに寝癖躍らせ風を切る
ぴったりと手汗で貼りつく課題集
山寺の鐘大夕焼の野に放つ
霜柱ふまずにまたぐピンヒール
觔斗雲おれの心も連れてって
春愁をペダルで風と共に切る
参考書開く力を置いてきた
七草においてけぼりの日めくりよ
あの星は俺の親友名は知らぬ
クラス替えパズルがどんどん崩れ去る
消しゴムに落書きの跡春キャベツ
辞書ふせて箱入りチョコの包み紙
春霞遠い故郷掻き消して
影武者か昔の父は今の僕
テスト終え残った自分灰のよう