伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第三十回
英語俳句の部 大賞
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Cool river
A fish jumps
Another fish jumps 訳/ 涼やかな川魚が跳ねるもう1つ跳ねるある暑い日、家族と川へキャンプに行きました。跳びはねる魚を見て「魚もつめたい川が気持ち良いのかな」と和やかな気持ちになった思い出を俳句にしました。
暑い日だ。作者は川を見つめている。川風がそよそよ吹けば、いくらか涼しい。流れに近寄って指を浸してみると、ひんやりしている。川は大きい存在だし観察の対象なので、定冠詞のtheも不定冠詞のaもつけないほうがいい。ないほうが広がる印象だ。少しすると魚が水面を割って現れる。羽化途中の虫を狙ったのか。そのうちもう一匹、はねて現れる。この句はシンプルに景色を描いているようで、実は雄大ともいえる時間の流れと川の流れを含んでいる。そのつぎのfishの登場、またつぎのfishの登場までも伝わるのだ。(英語俳句選評 アーサー・ビナード 日本語訳 星野 恒彦)
英語俳句の部 優秀賞
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Winter is over
The snowman has melted away
I pick up the carrot 訳/ 冬が終った雪だるまがとけさりわたしは人参を拾う -
Prepared to
Live through adversity
A winter rose 訳/ 逆境を生きる覚悟の冬バラ -
on the snowy road
walk deliberately
on my father's footprints 訳/ 雪道を慎重に歩くお父さんの足跡をたどり -
I don't usually notice
tiny ants
without my son 訳/ 息子がいなければ小さな蟻にふだんは気づかない -
a blade of grass ―
the crack in the asphalt
is a garden 訳/ 草ひと葉アスファルトの割れ目が庭となる -
one after another
railroad crossing ―
lingering heat 訳/ つぎつぎに鉄道の踏切が―残暑 -
a car door ・・・
the way the dog dances
tells me it’s you 訳/ 車のドア・・・飼犬が踊りだす君が来たのだ -
as if they know me
wild roses tugging
at my sleeve 訳/ 野生のバラが私を知っているかのように袖を引っぱる -
wearing new glasses
I step out into what is
clearly autumn 訳/ 新しい眼鏡をかけて出ればまさに秋
英語俳句の部 審査員賞
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In the sea
A jellyfish is all
Exercise 訳/ 海ではクラゲはもっぱら運動ばかりクラゲはとても神秘的で、その寒天質の体の動きをどう表したらいいか、人間の言葉を超越している気がする。一方、浜辺に打ち上げられると、クラゲは単なるゼリーの塊にすぎない。やはりIn the seaがクラゲの活躍の大前提といえる。傘を伸縮させて泳ぐ姿は、まさにすみずみまで体がすべて運動している印象だ。それをA jellyfish is all Exerciseと表現すれば面白く伝わると、この作者が発明した。フィットネスクラブで人間がやっているExerciseより、うんと優雅な感じ。
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zoo
sleeping animals
a crying child ・・・ 訳/ 動物園睡っている動物たち大声で泣く子・・・動物園では怖いながらも近くでよく見たいのは、ライオンやトラなど。でも昼間は物陰に寝ていることが屡々で、がっかりします。けだるく退屈な空気をとつじょ破ったのは、大声で泣くヒトの子。鮮やかな対照を見事1句に仕立てました。
英語俳句の部 後援団体賞
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Minute hand
and second hand
hold an athletic meet 訳/ 分針と秒針が催す運動会