伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十九回
佳作特別賞
一切れの柿の甘さにもらう福
移りゆく雲を足蹴にあめんばう
ストローが２本グラスに夏終わる
早乙女の昼餉は畦に立ったまま
陽当りの斜面に笑くぼ蕗の薹
自動ドアに押し出されたる余寒かな
勝ち独楽や地球の芯へと食い込みぬ
小豆粥だんだん遠くなりにけり
千枚田百まで数え秋深し
お年玉これも年金無駄にすな
天の川抜き手を切って渡りたし
夏帽子一つ棚田にうずくまる
千字文紫式部の実も然り
行く鴨に空は絵本のようである
牛膝そんなにジーパンが好きか
狛犬の怪獣めきて冬桜
父さんの軽トラが待つ無人駅
見えぬ眼の方も眉引く初鏡
パンジーが笑ひどほしの花時計
黒南風や身を寄せ合ひて牧の牛
りんご風呂一夜の宿のおもてなし
笑ったら負ける遊びや桃の花
ふらここの足着く凹み氷張る
長き夜のルーペ横たう辞書の上
早春の光り分け合うランドセル
来年も皆んな来る気の敬老会
本殿の千木に朝日や寒稽古
裾をひく富士の鏝絵や花菜畑
春泥を洗うと笑う足の裏
大空にはまりし凧を引き抜きぬ
華やかに漫画の列車ゆく花野
雛祭り口紅つける子が一人
陽炎や埠頭のクレーン牛降ろす
早春や座して迎える福寿草
雪折れの彼方に青き日本海
あずみ野の広き植田にそよぐ風
立て膝をかかへ野分の夜を過す
