受賞作品

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

佳作特別賞

立冬の扉を開けて庭師来る

長野県 坪内 惠津美 64歳

コントラバス背負う若者春の風

大阪府 中野 陽子 64歳

借景のツケ払うよに落ち葉掃き

大阪府 安藤 睦 64歳

冬木立語り手なくした写真帳

広島県 出張 幸江 64歳

虫の音やそろそろ眠くなる絵本

北海道 鹿又 幸一 65歳

一山を絞って尽きぬ雪解川

北海道 高橋 まりえ 65歳

日向ぼこ同じ癖持つ母と子と

東京都 衛藤 恭子 65歳

掌にしまいこみたき冬日かな

神奈川県 笹ヶ瀬 正二 65歳

沢蟹や呪文呟くような泡

静岡県 阿部 広海 65歳

思い出のところどころに夏帽子

愛知県 竹内 元子 65歳

嘘なんか許さぬ冬の朝の水

滋賀県 西村 芳和 65歳

青田風胸いっぱいの通学路

福岡県 小野澤 昇 65歳

手渡しの手紙一通春の風

栃木県 丸目 盛之 66歳

地下鉄の階段長き夜学校

山梨県 長田 知明 66歳

白梅やわたくし色の息づかい

高知県 広末 里栄子 66歳

放牧の牛の睫毛に溶ける雪

北海道 松田 公子 67歳

木の穴のムササビと目が合う平和

北海道 工藤 律夫 67歳

恐竜も象も桃色花ふぶき

北海道 藤森 美千子 67歳

せっかちな蝶の手習い読めません

福島県 高木 茂子 67歳

山里のわら家やわらか雨水かな

茨城県 森部 久恵 67歳

元朝や半身浴のソクラテス

茨城県 小田部 司 67歳

百人の行列のごと掛大根

栃木県 砂川 隆 67歳

地図にない廃線の跡夏茂る

埼玉県 栗原 由郎 67歳

地の影をかぶりて霜夜の月錆びる

神奈川県 小林 茂 67歳

オノマトペのみの挨拶賀客来る

神奈川県 生川 春枝 67歳

春風や恋のボートが漂着す

愛知県 大久保 裕司 67歳

春風を家の隅々入れてみる

兵庫県 田中 幸子 67歳

団栗が蓋をしている休火山

福岡県 安行 啓二 67歳

春夕焼け遊び足らないカラスの子

北海道 原田 つとむ 68歳

揚雲雀空にも森のあるらしき

茨城県 後藤 崇 68歳

一陽来復くつきり伸びる生命線

群馬県 佐藤 範博 68歳

換気扇どっと飛び出す初秋刀魚

東京都 松岡 加代子 68歳

いつの間に似た者夫婦芋が好き

神奈川県 熊田 松雄 68歳

かはたれの外灯雪の影を生む

岐阜県 片山 あや女 68歳

九九ふたつ間違ってるよ春の雲

京都府 本西 一代 68歳

方程式解くように生きはてな三乗

大阪府 宮本 みづえ 68歳

とろろ汁人工知能が本音言う

大阪府 村田 利文 68歳

秋深し五本の指に過去がある

大阪府 井上 信子 68歳

単線の枕木の音つくしんぼ

岡山県 永禮 直義 68歳

春光や縄文土器に湿りあり

熊本県 井田 寛志 68歳

「しばれるね」口ぐせ廻す回覧板

北海道 岡田 てる子 69歳

黄落や美しすぎるレクイエム

北海道 鎌田 誠 69歳

ぶらんこに揺れる記憶や合歓の花

千葉県 森崎 眞理子 69歳

砂に置くちいさきこぶし草相撲

千葉県 冨田 柊二 69歳

腹ポンと叩いて水着はきにけり

東京都 金指 孝造 69歳

自転車の篭に暴れる柏餅

東京都 佐野 三千代 69歳

何もなく一日過ぎて藤遥れる

神奈川県 持田 市朗 69歳

万緑や木霊を寝かす木こりたち

神奈川県 森内 利美 69歳

雪晴や一樹の蔭に青い鳥

京都府 三木 みどり 69歳

山の日の巣箱のような始発駅

大阪府 一門 彰子 69歳

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