伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十九回
佳作特別賞
喜びを吹き出しているシャボン玉
春風や体がすうっとおちていく
クリスマス磁力があるのか二人組
頭良い猫は日向で暖まる
降車駅気付かず今日も単語帳
木枯らしが寂しい背中に手を入れる
レンズ越しひらひら舞った春の色
鮮やかな金魚の瞳にも悲しみが
たくさんのペットボトルをつぶす夏
夕焼けとソファーの上の午後三時
りんごあめ甘ずっぱくて恋みたい
初茜富士の肩から差す光
木洩れ日の朝に揺らめく若葉かな
白い息とばす自転車あと五分
黒板を消すたび青春消えてゆく
夕焼けの身体を揺らす金魚たち
除夜の鐘僕のためいきかき消した
ビキニ着てかっこつけてもおなか出る
受験後の涙の色は十色なり
下校後の部室に残る夏のにおい
数学のノート一面銀世界
水鉄砲届かぬ距離がもどかしい
宿題に追いこまれたる冬の空
夏休み筆音混じる絵画室
窓枠の中にからりと冬の色
湯豆腐じゃ力が出ない十六才
おしること同じやさしさおばあちゃん
焼き芋の声を追いかけ隣町
雪道の足跡どんどんでかくなる
鍋つつくその箸まるでフェンシング
マフラーがはにかむ面持ち隠しけり
帰宅してうちにいるのはスイカだけ
初夢の再上映はいつですか
雨音と地球と私がつながった
旅人の心の中は霧のよう
輝きの静寂沈む福寿草
木漏れ日で溶けて顔出すふきのとう
花びらとさえずりを着て歩く道
黄昏に歩み止めれば梅薫る
日が沈む空のパレット混ざるとき
冬の空黒い制服白い息
秒針が眠れぬ夜に響いてる
帰り道一人聞こえる雪の音
駅伝で心をつなぐ男たち
からすども僕らを見ては論じ合う
北風が私を叱り消えていく
デッサンの消しカスまでも夏痩せて
大量に我が家の鬼は豆を食う
つまれてく本での知識僕の秋
ふせんはる教科書にできる虹の色