伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十九回
佳作特別賞
通学路これも一つの遍路道
わが町と言わんばかりに寒鴉
暑い日に裸足で感じる海の鼓動
夕焼けにこぼした絵の具入道雲
搗きたての餅がくるくる踊ります
玉砂利の休みなき音初詣
スカイツリー遠近法で背比べ
雪道で誰も踏まないとこへ行く
夜の月チューバのように光り輝く
現われたビルのすき間に白い富士
起こされて夢の続きの除夜の鐘
君待つとプラットホームに光差す
雨の駅二本の傘と父を待つ
一つの木緑をなくし白くなる
初めての英語で生活ホームステイ
陽を受けて私は伸びたり縮んだり
陽光のぎゅっと詰まった葉緑体
すれ違うコートの中に隠れてる春
黄色菊ランプのように咲いている
温かな祖母の豚汁身に染みる
夏に響く体育館の百の音
霜柱踏まれた心は戻らない
蜻蛉の尾が叩きたる水鏡
雪合戦今はやらない反抗期
年末に林檎のような通知表
凍鶴の凍てを解くのはいつだろう
青春と一緒に歩く夏の空
合格をいのり見上げる春の空
冬休みお餅のように延ばしてよ
教室ですきま風を売っている
上品な白い絨毯乗った冬
金木犀頭も心もリラックス
陽の光氷柱に映る未来かな
やっぱりかうちのサンタは節約家
朧月カッターシャツのしわ伸ばし
雪吊りを伸ばす吹雪の後の松
雪積もり月あかりさす青い町
緑陰に集う遺跡にひかりさす
からからと駆ける落ち葉のおにごっこ
除夜の鐘今年もスイッチはいったよ
雪降ってあわい青空フェルメール
寒椿白い大地に落ちてゆく
花曇テストの右下少し折る
秋空に赤く染める木々の園
目輝く魚泳ぐや天の河
冬明けて窓からもれる鳥の声
秋空に定規で引いた一つの線
雪だるま私に出会えて嬉しそう
笑っても泣いても最後入学試験
太陽に麦藁帽子自慢する
