伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十九回
英語俳句の部 大賞
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I suddenly noticed
I'm able to touch
the high shelf 訳/ とつぜん気がつくあの高い棚に手がとどくんだ以前は手が届かなかった場所に、ある日届くようになり、とてもうれしかったので、その気持ちを俳句に詠みました。
伸び盛りの少年を生き生きと、具体的に実感させる句。衣服や靴が寸足らずで体に合わなくなるのは、誰でも気づき、平凡なことです。だが、踏み台の必要だった高い棚に、ある日手が届いたのは、本人の驚きと喜びが伴う発見です。誇らし気に物を取る様子も目に浮かび、若々しい希望に満ちています。 英米人なら違うスタイルの英語になるかもしれませんが、いかにも日本人が真面目に勉強している英語表現で、好感がもてます。(英語俳句選評&日本語訳 星野 恒彦)
英語俳句の部 優秀賞
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Zoo
Without seeing an animal
Ferris wheel 訳/ 動物園動物は見ずに大観覧車 -
in a footbath ...
the touch of a friend's leg and words
makes me warm 訳/ 足湯・・・友だちの脚の接触とことばがわたしを温かくする -
colorful suitcases
here and there on the train
holiday season comes 訳/ カラフルなスーツケースが電車のここかしこに行楽シーズン到来 -
winter bus
shakes me awake-
there my new world 訳/ 冬のバスに揺さぶられ目覚める―そこは新世界 -
Smell of the field burning
reminds me
my hometown 訳/ 野焼きがわたしの故郷を思い起こさせる -
moonlight
snow snuggles whole forest
quiet night 訳/ 月の光雪が森全体に寄り添う静かな夜 -
scent of rain ...
my lazy left hand
spinning the globe 訳/ 雨のにおい・・・動きがのろい左手が地球儀をくるくる回す -
morning light-
the shadow moves faster
/than the snail 訳/ 朝の光―カタツムリよりもその影が速く動く -
turn of tide
boats restless
at their moorings 訳/ 潮が変わる船はどれも落着かなくなる停泊地
英語俳句の部 審査員賞
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old pier
a child cools his feet
in the clouds 訳/ 古い桟橋子どもが雲の中に足を入れて冷やす夏のある日、田舎の小さな湖の古い桟橋の端に子供が腰掛け、水面に映った雲の中に足を入れている情景です。英語俳句ではよく反射が使われますが、この句では間接的かつ意外なやり方で、それを巧みに表しています。
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the pasture's single tree
all the horses' heads
in the shade 訳/ 放牧場のただ1本の樹すべての馬の首が木蔭に平らかな放牧場に、垂直に大樹が一本。日盛りの濃い木蔭に、放射状に頭を集めた馬の群れ。穏やかな休息の時間が流れます。が、それもひとときで、駆けたり、草を食んだりする長い1日をかえって想わせ、奥行のある景に惹かれます。
英語俳句の部 後援団体賞
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A drop of water
falling on the Go board
the rain makes his move 訳/ 水滴がひとつ碁盤に落ちる雨が碁を打つ手を進める