伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
都道府県賞
広島県
初夢の再放送はないのかな
夜の空北極星は不動かな
かるたとりはいっと声が響き合う
降りるのを忘れてしまう春のバス
しあわせは終わらぬ家事のなかにある
山口県
きれいだとあなたが言った雪と私
街中に散りばめられた春の色
流れ星カミオカンデに投げ入れて
清張の黒縁眼鏡寒の月
立春や稚児にも深き土踏まず
徳島県
もちをつき心も丸くなりたいな
冬の風うけたかれ葉はバレリーナ
こたつには引力があり出られない
近すぎてB級ホラーの様な月
初生りのトマトその場でかぶりつく
香川県
白うさぎ飛び交う冬の瀬戸内海
雛壇で内裏を射止めた富士額
少年の指先白し春の雪
五線譜をはみ出してゐる百千鳥
行き先は行き着くところ花筏
愛媛県
弟のくつしたふえたクリスマス
鍵穴は孤独な詩人秋の風
歳時記は少し湿りて夕月夜
綿毛追う君の後ろを蝶が舞う
スマホから般若心経春遍路
高知県
お年玉同封されてた問題集
満月が猫のしっぽを追いかける
自転車のタイヤに一枚イチョウの葉
つぶやきは心情あらわす焚き火かな
かぐや姫会いに来たのかスーパームーン
福岡県
春の川光をたどって漕ぐカヌー
黙想は静かな音のコンサート
雪だるまあなたは言った抱きしめて
盆の入りトマトも祖父を待っている
下を向き上には媚びぬ梅の花
佐賀県
くりひろいおいしい料理にしてもらお
白い雲野原の中で昼寝する
白魚は美しいこと知っている
保育器の微かな呼吸春きざす
打ち水が優しい夜にしてくれる
長崎県
かげぼうしいつも私のガードマン
水仙が内緒の話しゃべりだす
十五歳背が伸びすぎてアスパラガス
月見ればみんなが同じ空の下
仲直り気づけば外は五月晴
熊本県
もみじのはおちたらだめださむくなる
名月がのぼっていくよ星の海
一冊の本との出会い星月夜
締切に間にあわないと滝凍る
つやつやの新米のようわが子の歯
大分県
ねぎ刻む目覚ましよりも覚める音
音程が外れた父の子守唄
半纏の重みが語る九十年
画用紙を継ぎ足し孫の大花火
三日月を吊して眠る蔵の町