伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
都道府県賞
愛知県
たけのこさん何枚着てたのスッキリネ
セーターを脱ごうとしたら迷宮に
あの人に会えたら今日はカレーライス
マッチ売る少女の見える寒さかな
還暦も古希もジーンズ文化の日
三重県
夕立があなたの声をかきけすの
ヤドカリのあがいて進む三十路かな
今の僕忘れないでと蝉時雨
未来図の上に置きたい青りんご
わが笑ひ母にうつりてひなたぼこ
滋賀県
かさたたく雨音全部音楽だ
大雪の中に輝く比叡山
おはようの代わりにモチの数を聞く
紫陽花も和気あいあいと雨上がり
向日葵がぬっと卓袱台覗き込む
京都府
走れ走れ!虹はキミへの滑走路
一面に白詰草が歌いだす
東福寺紅葉で焼かれるいわし雲
ぎごちない会話をすくった金木犀
目の奥へ捕まえておく初蛍
大阪府
初ゆめのこわさにパパをまきこんで
母の日にぼくが作った母の味
広い空どこから宇宙になるのだろう
これは叔母これは姉にと柿吊るす
あやとりの指おぼえてる敬老日
兵庫県
お帰りと微笑む祖母に会いたくて
教科書も漫画も束ね風光る
千の畝万の命をつなぎ春
ラ・フランス遥かなものを噛むように
メモ持ってメモにはないが秋刀魚買う
奈良県
ぼくよりも小さい親せきふえたんだ
平凡な人生送るbe動詞
大晦日十人十色の笑い声
滝の裏そこのみ遠き蝉時雨
ふらここを漕ぎて宇宙へ膝の子と
和歌山県
持久走風よ私についてこい
入道雲熊野の山を攻略中
雪の中苺みたいに君笑う
合戦の跡に平和の雪だるま
肩凝りも夕焼け空に溶けてゆく
鳥取県
ぶどう食べぼくのほっぺがハムスター
ピーマンよ早く熟して苦い恋
山陰の冬空飾る二重虹
白く咲くこの地の宝梨の花
古宿の部屋の先客こがね虫
島根県
雪の峰手が届くかな松江城
京の町秋めく風を深く吸う
昨日とは違うシュシュつけ夏の街
子と見上げ辿る指先星の地図
裏木戸に土の匂いの母が居る
岡山県
マフラーを巻いて踏み出す第一歩
猫が伸びお餅も伸びるお正月
パタパタと走って来るのはきっと春
透明な時間を詰める浮き輪かな
漁火が水平線の秋告げる