伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
都道府県賞
千葉県
暗記した春の七草おひろめし
妹が声だけ参加の大そうじ
冬の夜猫の文鎮動けない
春光を集め乳児の前歯かな
啓蟄や色とりどりの孫の靴
東京都
重箱にきれいな日本つまってる
立葵ならぶ私も背が伸びる
嫁ぐ日の百日草の赤いこと
おでん煮る理屈するする溶けていく
生くるにも限りあるらし老の春
神奈川県
申年だ見る聞く話すがんばるぞ
どんぐりに肩たたかれて道ひとり
神様へ絵馬という名の手紙書く
初詣待ち人来たるの時期が過ぎ
ひらがなのような気分になる初湯
新潟県
船がゆく海のチャックがひらいてく
暑すぎるスイカの線もぐにゃぐにゃに
放課後は追試のありて赤蜻蛉
梅園や江戸まで百里の道標
書初の硯に名水垂らしけり
富山県
はつマラソンしんこきゅうしてはしり出す
遊ぼうよ僕の眠気を春風が
冬の空ツリーの星がまぎれこむ
遠雷や不在の人を思いつつ
春立つや回覧板をすぐ廻す
石川県
知恵の輪を解きて戻して秋黴雨
ゆきつりや銀に輝く兼六園
天の川光が織り成す物語
降り注ぐ光りに揺れる麦畑
黒黒とうねる太梁鮟鱇鍋
福井県
山路来てさくら一片肩に舞い
風呂に柚子きれいな母でありたくて
小春日に獏に内緒で夢を見る
あだ名しか思い出せずや新茶汲む
白山を押し上げているふきのとう
山梨県
雲たちは走って走ってどこ行くの
天高く落ちて来た君天使のよう
富士山の化粧がくずれ春が来た
抜け殻に未練残さず蝉は飛ぶ
新茶飲む日本人の顔になる
長野県
夏の海アクリル性の絵の具かな
春風が僕と一緒に深呼吸
ペディキュアがまだまだ夏を主張する
ブランコを押して吾が子を空に貼る
イケメンの案山子が守る棚田かな
岐阜県
おはようと言った数だけ心のわ
春が来て私のページが進み出す
ありがとね素直に言える大晦日
一本のレールの接ぎ目去年今年
焦げ穴のいくつかあって夏座敷
静岡県
鳥帰る見ていたはずの別世界
望郷の壁に残りし野球痕
幸せは無色透明非売品
やわらかな言葉で発す春のバス
実千両こぼるるほどに夢多し