伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
都道府県賞
北海道
雪どけの水から生まれ芽が光る
秋麗聞こえてくるのは応援歌
ナナカマド校舎へ続く道標
遂に来た北の大地に新幹線
夏帽子少女きらりと変身す
青森県
ふきのとう外が見たそうせのびして
あきのかぜはっぱとはっぱおにごっこ
鏡もち表面われたら学校だ
日めくりを二枚はがしてこどもの日
春の猫ぽんと飛びたる水溜り
岩手県
クレーン車歪なキリンが町を観る
草焼の香りをまとった君の髪
初孫をあやすと増えるしわの数
待ちぼうけなんだか雪が寂しそう
初氷おっとあぶないイナバウアー
宮城県
海水浴さかなになって帰る家
春深し正弦定理じゃ解けぬ恋
主語のない会話飛び交う大晦日
初めての冬が睫毛に舞い降りる
桜の木大和言葉を満開に
秋田県
らっかせいカシャシャカ鳴ってマラカスだ
先生も泣き閉校へ散るもみじ
大夕焼け大きなランドセル帰る
末っ子の六女還暦花大根
子の未来追い風吹けよ風車
山形県
プールの中どれが私かわかるかな
秋風にぶつける行き場のない想い
雪の上たどっていきたい猫の足
ぼた雪やわたしは真っ直ぐ歩みます
閉校の決まりし校舎に春の風
福島県
山ねむる少しいびきが聞こえるよ
スズランの如き学生昼下がり
福島にうんめえもんがあっぺした
もみじの葉律儀に赤くただ赤く
年ごろの声はじけとぶ荒神輿
茨城県
満月をえんしゅうりつでわってみた
碧空の下で煌めく筑波山
満月に照らされ君も主人公
梅の香に呼び止められて回り道
数の子噛むはっきり返事できるまで
栃木県
さくらんぼはぐれている子はいないかな
一つだけ秘密を抱え苺食う
蒲公英がここに決めたと咲いてをり
採血のあとに大きなトマト捥ぐ
朗読の声晴れやかに初時雨
群馬県
日がしずみまだ遊びたい遊べない
セーターのほつれが私と君の距離
蝉たちの音色に負けぬ応援団
大根と大地一緒に持ち上げる
少年の夢の染み込む布団干す
埼玉県
けしごむは小さい方がせんぱいだ
立春や修正テープ切れている
布団から子供の足出るもう春か
母さんに叱られたくて空を見る
満月に語りし山の寝息かな