伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十七回
佳作特別賞
秋の実をつつく雀の一場面
ドーナツを覗いてみたら夢がある
エアコンの風にふかれて風鈴なる
寒い冬爪からみかんにおいだす
雪だるま並べて美人コンテスト
炎昼に優しく語る森の木々
虫たちがきれいに奏でる夏の夜
陽炎にかすんで見えぬ明日の僕
たんぽぽは僕が使った宅配便
新年の決意富士山より高く
クリスマスピザも届けるサンタさん
たんぽぽがコンクリートを鉢にして
新米をかみしめた日のうれしさよ
お月さま地球の涙見えますか
夕暮れの田んぼに一匹トンボ来る
波の声「かかってこいよ」とさそってる
雪ダルマ動きそうで動かない
黒猫が枯れた庭木と遊んでる
月光は人のハートもうばってく
主語なしで話通じる母と姉
雨上がり銀の尾を引くアットマーク
猫の恋ほんわり香る花のにおい
どの家も看板娘はゆきだるま
霜柱いっぱい踏むとオーケストラ
滝の音一つ一つに息がある
かげろうが僕の背中についてくる
みかん食べ細胞みんな目をさます
ペンは指息は消しゴムなに書こう
あんたの眼輝いてるで満月よりも
ゆれ動く朝顔みんな笑ってる
渡り鳥白くて赤くて儚くて
教科書をひらけばふわりと香る春
雪降る日空は一つの落書き帳
秘密基地ちいさくなった出入り口
焼き芋と二人の気持ち半分こ
夕暮れと電柱の影秋の道
二度見する母の真顔と体重計
見てくれよおれの全身福ぶくろ
赤とんぼ羽に空色映しとり
最近の母の口癖春よ来い
足元に増えるスタンプ霜柱
大寒の止めるアラーム五分おき
向日葵も脱水症状上を向け
学生の涙を拾う桜の木
どんぐりは子供に戻れる不思議な実
冬の夜風が心を貫いた
しゃぼん玉僕の来世へ飛んでいけ
浴衣着て花火見る夏甘ずっぱい
黒板の裏の世界はどこだろう
ききなれた音にさそわれ夏祭り
