伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
佳作特別賞
連れて来て早めの春を重力波
春炬燵ふたり暮らしは相槌で
鳥帰る私の帰る場所ひとつ
日曜日夏をさがしに海へ行く
三毛猫が寝そべってるの秋の山
オリオンも拳でエール受験生
高枝に天狗の卵めく風船
口答え並べる娘春暑し
ボタンはめ忘れたような月夜かな
何となくクリームパンは春だと思う
逃げ水やつかんだ夢の先も夢
もつ鍋を食みて麒麟の顔になる
逆上がりの足が蹴飛ばす春の星
太陽の一途に春を育てをり
宇宙船迎えに来そうな冬銀河
温暖化転ばぬ先の大寒波
春風のリボンつけてる一年生
春の虹ボタン一つで動く椅子
お昼寝は女磨きの基礎作り
秋日や豆腐屋の無き町となり
入道雲プードルとなり歩きだす
ペン立てに挿した秋桜リズムとる
肩書きがはしゃぎ過ぎてる春四月
故郷より宅配届く女正月
鰯雲都会の空を海に変え
稜線が溶けて流れる春霞
噴水の描く弧をぬい蝶の飛ぶ
夏野菜君たちスーパーモデルだね
男前顔より背より心意気
タラ漁や一直線の軌跡あり
ネクタイを父に習いて入学す
除夜の鐘すかさず猫と握手する
葉桜やトンネルとして開通す
虫干しの本に張り付く昭和かな
どんど焼き一年ぶりを話し込む
ドロップのみかんのにおいがする夕日
蜻蛉ぶつかつた宇宙は広いのに
一つずつキッチン椅子が減る四月
優しさをふくらすずめが丸くする
大皿を棚からとり出しお正月
酢の薄い母のばら寿司春祭り
風光る初めて降りる駅の名に
君の名の漢字に惹かれ好きになる
母の日の病室飾る化粧水
肩の荷を降ろすと夢が消えそうで
熱出して桃缶ほどの甘えんぼ
タラの芽を食して春をのみ込みし
子が減って神輿も減って夏祭り
暑中見舞漢字ばかりの男です
座ったり走ったりしてひな祭