伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
佳作特別賞
紫陽花の横で想いをつげてみる
窓あけて金木犀を身にまとう
遠くでね手を振るだけでうれしくて
小さな石投げて一言「二次関数」
向こうから足音立てず冬帽子
炎昼の影は私を置き去りに
東風吹いてガラスの靴で踊る花
いつみてもアリの行列仕事人
母作る可愛い毛糸の鏡もち
ホイッスルネットごしの目夏の空
夏の空期末テストとホームラン
ハイタッチしたら飛び散るお星さま
薄氷を片手に持って小学校
桜舞う空をつかんだわたしの手
雪だるま崩れながらも何思う
祭りあと独りぼっちのあの感じ
蜩の幼い記憶想い出す
入道雲あなたの元へつれてって
賀状書く記憶はあの日のままの友
着てみたら丈が足りない更衣
予定書くたのしさ求め手帳買う
思い出はさくらにまぎれちってゆく
太陽と僕の心が燃えている
枯草のかすかな音が聞こえるな
大掃除心の傷も押し入れへ
タンポポがふわりふわりと飛んでいる
ドアノブに小さくひそむ冬将軍
熊蝉や雲をつらぬくホームラン
まだ起きぬ春の蕾を探しけり
寒空に漕ぎ出す祖父の小さき背
カタツムリ雨という名の遊び場所
風吹くと会いたくなるんだ春の顔
大根を片手にかえる農業生
ハクサイとダイコンもちて電車まつ
祖母からの敬語ばかりの初メール
空蟬をぼんやり眺めバスを待つ
深夜二時二次関数と鈴虫と
雪景色足跡たどれば獣道
スニーカーはいて歩いた春の道
行ってきますくしゃみを一つ置いていく
行く道でふと足みれば蕗の薹
甘酸っぱい夏よこのまま駆け抜けろ
冬の夜ミシンの縫い目ひたすらに
雪の中あなたの姿追いかける
凛として夜空に伸びる雪桜
バレンタイン跳び箱こえて花咲かす
春の木よその根の下に何眠る
太鼓の音心の扉つきやぶる
金木犀外へ出るたび立ち止まる
左手がなんだか寂しい雪降る日