伊藤園 お~いお茶新俳句大賞
第二十七回
佳作特別賞
失恋の涙を隠す残暑の夜
ひとかけら降ってこいよと冬銀河
消しゴムを拾い感じる冬の風
教室の扉をひらく天の川
スイカ切り中から出てきた銀河系
秋高し空を見上げてオムライス
雪溶けて土の下から産声が
扇風機毎年好きな人替わる
クリスマスツリーは君を立ちて待つ
夏の日に白い球を追いかける
乗り降りを急ぐ扉に日脚伸び
金魚草赤いシューズが横切って
立ち並ぶ高層ビルは枯れ木かな
弟の寝相はまるでオリオン座
桜咲く木漏れ日の中君を待つ
いつか君と住む家建てた箱庭に
羨ましいひこうき雲に迷いなし
夏の日に僕がついた赤い嘘
星見上げサインコサイン思い出す
一面に星が広がるコンサート
河川敷手毬のように犬弾む
祖母と見た鎌倉大仏しらす丼
うそをつく私の心はふうせんだ
初恋は冬の夜空に消えてった
差し込んだ日差しこそさあ春の朝
葛飾の古書店の中に吹く風よ
初日の出昨日と違う輝きが
パーティーの飲み物麦茶の十六才
雪溶けのように数学解けたなら
金魚すくいポイと心に穴が空く
冬の宵白湯に映った星を飲む
夕闇に溶ける輪郭冬ぼたん
会うために何度も通る冬の道
雪の色頭の中は幻想曲
平成の水面に浮かぶ江戸桜
紅葉散る大仏までの道しるべ
塾帰り落葉をえいと蹴り上げる
潮風が吹けばいつもと違う道
花火咲き人の心に色がつく
彼岸花空を見上げて何願う
受験日の実家のみかんお守りに
廃線の線路まっすぐ夏の空
木漏れ日の音が変わって秋休み
霜柱静かにくずすピアノの音
サングラスいろんなものを誤魔化して
やわらかな桜と時間散ってゆく
鉛筆を握った時は春景色
逃げ水を追いかけ走る君の影
グランドも持ち上げられる霜柱
山からの風が薫るよ甲斐の国