伊藤園 お～いお茶新俳句大賞
第二十七回
佳作特別賞
冬の夜大きな月が見守って
絶品の祖母のぜんざいあたたまる
冬の木がばんざいしながら立っている
楽しくて忘れてしまう麦藁帽
雨の梅雨カエルと帰るぼくの夢
鉛筆が上手く握れぬ真冬の日
若水をくんではじまる祖母の朝
見渡せば地面いっぱい春の顔
外の声まだ起きるには早いかな
春一番新しい僕に出会えたよ
木の上で小さなスズメが笑ってる
鹿おどし何やら時間が遅くなる
つくしんぼう太陽目ざして背くらべ
夏の夜に大太鼓の音響きけり
空青し目の前広がる俺の道
起こすなよ冬眠中といったでしょ
おはようと背伸びしている春の声
夕やけの沈む一瞬火の如く
子の成長見守る母の春日傘
ラガーらの時代を創るあのポーズ
居眠りをしてもいいよと春の風
初日の出誰にも言えない決意あり
また来るね砂に書いた夏休み
田を焼けば近づいてくる遠い山
朝焼けが走る部員の背中押す
卒業しふる里になるこの街よ
便箋の終わりをかざる天の川
厚着して福良雀の仲間入り
春風が去りゆく背中追っていく
秋風があの日の君の手のようで
桜散るみんなさよならさようなら
ブランコの揺るる少女のこころかな
夕焼けの路地に映るは猫の影
アラームの音が永遠冬の朝
息白く自転車で切る風の音
参考書斜めに照らす冬日かな
玄関に迎へてくれるシクラメン
ヨーヨーも私の心もはずんでる
干してある服が寒いとゆれている
太陽も夜ふかしをする冬至かな
涼風や私はここで君といる
古都の秋寺に集いしつくもがみ
白球を卓球台に夢のせて
改札の向こうで手を振る冬がいる
書き初めは空に向かって夢と書く
自転車をまわせまわせとトンボくる
いつ見ても冬の星座は混沌です
進路表空欄のまま春を待つ
心臓の音がきこえる入学試験
晴れ渡り茶つみの声のそろいけり
